#30 帯に短し襷に長し? かなフォント「ローズ」 2020/06/10(Wed)
フォントワークスが販売しているかなフォントのひとつ「ローズ」。同社が販売している漢字や英数字を含めた和文フォント「ロダン」と予め混植されたフォントとして提供されていることから、「ロダンローズ」という名称の方が馴染みがあるかもしれない。具体的にいつリリースされたかは僕にも判らなかったが、少なくとも2000年代前半に「LETS」の提供が始まったばかりの頃から使えたフォントのようだ。長年に渡り提供されているものの、僕はこのフォントの使用例をそれほど多くは見たことがないし、LETSで使えるフォントの中でも、かなり存在感が薄い印象だ。今回は、その「ローズ」について取り上げる。
まず「ローズ」とは、こんなフォント↓フォントワークスのサイトでは、以下のように紹介されている。「オーソドックスでありながら、《若々しくポップ》なイメージを表現する『かな書体』です。DB/B/EBの太い3ウエイトで構成されているため、見出しやキャッチなどにお使いいただける書体です。」
僕の見解を率直に言うと、「見出しやキャッチなどに」使えるフォントとのことだが、そういった場面に適したフォントに欲しいものというか、魅力がこれといって感じられないんだよね。主にゴシック体や明朝体を用いて堅くデザインしたい場面で使用するには、かな文字が遊び過ぎているのでまず使おうとは思えないし、だからってフォントワークスが紹介しているような《若々しくポップ》な印象を持たせたい場面で使用するには、あまりにも足りないものが多過ぎるし、つまらない。汎用性が高い、シッカリしたデザインのゴシック体というわけではないのに、ポップなフォントに欲しいものもまるで足りず、まさに「帯に短し襷に長し」という感じかな。LETSで長年提供されていながら同じ年間ライセンスで使える他のフォントと比べて使用例が多くないのも、「ローズ」の何とも言えない使いにくさに、いちいち声を上げないまでも、あるいは明確な言葉にはできないまでも、違和感を憶えているユーザーがいるからだと思う。僕であれば、もしローズないしロダンローズが、LETSという年間ライセンスのラインナップに含まれるフォントのひとつじゃなく、単体で販売されているフォントだったら、あえて単体で購入してまで手に入れたいとは思わないかもしれない。
僕が「ローズ」の存在を初めて意識したのは、2000年代後半、当時遊んでいたとあるゲーム内で使用されていた時だ。当時はフォントのことなんて、Windowsに標準で入っているもの以外ほとんど何も知らなかったけど、何とも不思議な文字だなぁと感じたのは覚えている。プレイヤーが入力した任意の文字列が「ローズ」で表示される特殊な使い方のため、そのゲーム内では頻繁に使用例が見られたのだが、当時はとにかく「なんか上手くは言えないけど気持ち悪い」という印象が強かった。ポップ体や個性の強いデザインフォントで言われがちな、ダサいとか、読みにくいとかいうことではないんだよ。言葉を選ばずに言うなら「気持ち悪い」し、もう少しソフトな言い方をするなら「惜しい」んだよね…。
突飛なデザインのフォントであれば、アマチュアや、プロでもデザインセンスのない人が好んで勢いやいっときのブームで多用する一方で、堅実なデザインを好む人からは嫌がられがち。逆に堅い印象のゴシック体や明朝体ならば、頭の堅いデザイナーからは好まれるけど、アマチュアからはそれほど好まれないこともある…。「ローズ」は、そのどちらにもつかない中途半端さ(帯に短し襷に長し)が目立ち、そこが言葉にできない「気持ち悪さ」に繋がっている気がする。
特定のゴシック体(あるいは明朝体・丸ゴシック体)と混植することを想定して作られたかなフォントを使う意味は、最低数千文字は作らなきゃいけないフォントのわずか数十文字(かな部分)を入れ替えるだけで、「こんなにも印象が変わるんだ~!」と感じられるところにあると僕は思うんだよ。必要のないフォントとまでは言わないが、「ロダン」のかな部分をわざわざ作り替えて「ロダンローズ」という新しいフォントとして発表するほどの意味はなかったんじゃないかな…。せめて「ロダン」に準じて、L/Mなどもう少し細いウェイトも作ってくれていれば、また印象が違ったのかもしれないけどね。作り手が「見出しやキャッチなどに」用途を限定して作ってしまったこと、それなのに「見出しやキャッチなどに」使えるフォントに欲しいものがあまり見当たらないこと…が、この「ローズ」を残念なフォントに至らしめたと感じる。
どういうフォントも、発表されて間もない時は、「こんなフォント自分には必要ない」と決め付けてしまいがちだけど、いろいろな人の使用例を見ていて、「あ、こういう使い方ができるのか!」と気付かされることも多々あるんだけどね…。「ローズ」は他のLETSで使えるフォントより使用例が少ないせいか、僕が単に気付いていないだけなのか……。
悪いとまでは思わないけどあえて使うほどの良さも見えてこない、ある意味で僕が今まで見たことがないほど不思議なフォントだったので、今回ここで取り上げさせて頂きました…(笑)。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】・ロダンローズ DB|Fontworkshttps://fontworks.co.jp/fontsearch/rodinrosepro-db/・ロダンローズ DB|FONTPLUShttps://fontplus.jp/font-list/rodinrosepro-db(↑どちらのサイトでも試し打ちができます。B,EBに切り替えも可)
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フォントワークスが販売しているかなフォントのひとつ「ローズ」。
同社が販売している漢字や英数字を含めた和文フォント「ロダン」と予め混植されたフォントとして提供されていることから、「ロダンローズ」という名称の方が馴染みがあるかもしれない。
具体的にいつリリースされたかは僕にも判らなかったが、少なくとも2000年代前半に「LETS」の提供が始まったばかりの頃から使えたフォントのようだ。
長年に渡り提供されているものの、僕はこのフォントの使用例をそれほど多くは見たことがないし、LETSで使えるフォントの中でも、かなり存在感が薄い印象だ。
今回は、その「ローズ」について取り上げる。
まず「ローズ」とは、こんなフォント↓
フォントワークスのサイトでは、以下のように紹介されている。
「オーソドックスでありながら、《若々しくポップ》なイメージを表現する『かな書体』です。
DB/B/EBの太い3ウエイトで構成されているため、見出しやキャッチなどにお使いいただける書体です。」
僕の見解を率直に言うと、「見出しやキャッチなどに」使えるフォントとのことだが、そういった場面に適したフォントに欲しいものというか、魅力がこれといって感じられないんだよね。
主にゴシック体や明朝体を用いて堅くデザインしたい場面で使用するには、かな文字が遊び過ぎているのでまず使おうとは思えないし、だからってフォントワークスが紹介しているような《若々しくポップ》な印象を持たせたい場面で使用するには、あまりにも足りないものが多過ぎるし、つまらない。
汎用性が高い、シッカリしたデザインのゴシック体というわけではないのに、ポップなフォントに欲しいものもまるで足りず、まさに「帯に短し襷に長し」という感じかな。
LETSで長年提供されていながら同じ年間ライセンスで使える他のフォントと比べて使用例が多くないのも、「ローズ」の何とも言えない使いにくさに、いちいち声を上げないまでも、あるいは明確な言葉にはできないまでも、違和感を憶えているユーザーがいるからだと思う。
僕であれば、もしローズないしロダンローズが、LETSという年間ライセンスのラインナップに含まれるフォントのひとつじゃなく、単体で販売されているフォントだったら、あえて単体で購入してまで手に入れたいとは思わないかもしれない。
僕が「ローズ」の存在を初めて意識したのは、2000年代後半、当時遊んでいたとあるゲーム内で使用されていた時だ。
当時はフォントのことなんて、Windowsに標準で入っているもの以外ほとんど何も知らなかったけど、何とも不思議な文字だなぁと感じたのは覚えている。
プレイヤーが入力した任意の文字列が「ローズ」で表示される特殊な使い方のため、そのゲーム内では頻繁に使用例が見られたのだが、当時はとにかく「なんか上手くは言えないけど気持ち悪い」という印象が強かった。
ポップ体や個性の強いデザインフォントで言われがちな、ダサいとか、読みにくいとかいうことではないんだよ。
言葉を選ばずに言うなら「気持ち悪い」し、もう少しソフトな言い方をするなら「惜しい」んだよね…。
突飛なデザインのフォントであれば、アマチュアや、プロでもデザインセンスのない人が好んで勢いやいっときのブームで多用する一方で、堅実なデザインを好む人からは嫌がられがち。
逆に堅い印象のゴシック体や明朝体ならば、頭の堅いデザイナーからは好まれるけど、アマチュアからはそれほど好まれないこともある…。
「ローズ」は、そのどちらにもつかない中途半端さ(帯に短し襷に長し)が目立ち、そこが言葉にできない「気持ち悪さ」に繋がっている気がする。
特定のゴシック体(あるいは明朝体・丸ゴシック体)と混植することを想定して作られたかなフォントを使う意味は、最低数千文字は作らなきゃいけないフォントのわずか数十文字(かな部分)を入れ替えるだけで、「こんなにも印象が変わるんだ~!」と感じられるところにあると僕は思うんだよ。
必要のないフォントとまでは言わないが、「ロダン」のかな部分をわざわざ作り替えて「ロダンローズ」という新しいフォントとして発表するほどの意味はなかったんじゃないかな…。
せめて「ロダン」に準じて、L/Mなどもう少し細いウェイトも作ってくれていれば、また印象が違ったのかもしれないけどね。
作り手が「見出しやキャッチなどに」用途を限定して作ってしまったこと、それなのに「見出しやキャッチなどに」使えるフォントに欲しいものがあまり見当たらないこと…が、この「ローズ」を残念なフォントに至らしめたと感じる。
どういうフォントも、発表されて間もない時は、「こんなフォント自分には必要ない」と決め付けてしまいがちだけど、いろいろな人の使用例を見ていて、「あ、こういう使い方ができるのか!」と気付かされることも多々あるんだけどね…。
「ローズ」は他のLETSで使えるフォントより使用例が少ないせいか、僕が単に気付いていないだけなのか……。
悪いとまでは思わないけどあえて使うほどの良さも見えてこない、ある意味で僕が今まで見たことがないほど不思議なフォントだったので、今回ここで取り上げさせて頂きました…(笑)。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】
・ロダンローズ DB|Fontworks
https://fontworks.co.jp/fontsearch/rodinrosepro-db/
・ロダンローズ DB|FONTPLUS
https://fontplus.jp/font-list/rodinrosepro-db
(↑どちらのサイトでも試し打ちができます。B,EBに切り替えも可)
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