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#27 Google FontsとWebフォントの普及
2020/03/10
2010年代後半以降、Google Fontsを導入するサイトが増えたように思う。
Google Fontsとは、その名前からわかるようにGoogleが無料で提供しているWebフォント提供サービス。
2014年にNoto Sans(源ノ角ゴシック)という日本語を含む多言語に対応した豊富なファミリーを揃えたオープンソースフォントがリリースされ、Google Fontsでも提供されるようになった。
ここで提供されている日本語Webフォントは、長らくβ版という(正式にはサポートされていない)扱いだったが、2018年秋頃から日本語が正式にサポートされるようになった。
現在ではゴシック体のNoto Sansだけでなく、明朝体のNoto Serif(源ノ明朝)も含め、オープンソースフォントがいくつか提供されている。
環境(PC・スマホ・タブレットやOS・ブラウザの違いなど)に依存せず、どんな端末でも全く同じフォントで表示できる安定的な環境が整ってきたことはとても嬉しい。

しかし、日本語に対応したWebフォントサービス自体は、2010年頃から登場し始めていた。
Google Fonts以外では有料のWebフォントサービスが多いが、Google Fontsと異なり、例えばTypeSquareならMORISAWA PASSPORTで提供されているフォントの多くが使えたり(一部未配信のWebフォントもあるが)、DynaFont OnlineならDynaSmartシリーズで使えるダイナフォントが使えたりと、使えるフォントのバリエーションは圧倒的に多い。
仕事でフォントを扱う人は、企業や商品、サービスなどのイメージに合わせて決まったフォントを使うことも多いと思うし、そのフォントをWebサイトでも最大限活用できるとなれば、少々のコストがかかっても導入する価値は大いにあるだろう。

最初の日本語Webフォントサービスが登場した2010年頃から、Google Fontsが日本語に対応する2014年頃まで、いろいろなWebフォントサービスが登場した。
しかし、日本語Webフォントは欧文などのそれと比べてフォントの収容文字数が多く、どうしても読み込みに時間がかかってしまいがちだ。
また、OSやブラウザの種類・バージョンなど、ユーザーの環境によっては文字がきれいに表示されず、かえって見映えが悪くなることもある。
安定して表示できる確証がまだ得られなかった頃は(そんな未知のサービスにお金を払って使うのはためらう人が多いよね)、大きい会社が提供するWebフォントサービスでも無料で全てのフォントが使えるお試し期間を大幅に伸ばしたり、フォントの年間ライセンス契約者であれば追加料金なしでWebフォントを使えるよう料金プランを見直すなど、酷く迷走(笑)していた時期があった。
他にも、文字詰め機能を追加したり、コーディングが苦手な初心者でも簡単にWebフォントを導入できるシステムを用意したり、ダイナミック・サブセット(ユーザーがアクセスするページの情報量に応じて適宜必要な文字だけを読み込ませてデータ量を軽くする)技術に対応させたり…。
しかし、いろいろ試みても利用者数は伸び悩んでいたのか、長続きせず終了してしまったWebフォントサービスもあったりする。
今もサービスの提供が続いているところでも、Webフォントの「導入事例」に掲載されていたサイトが後にリニューアルされると、無料で使えるGoogle Fontsに移行していた、なんて例もあった…。

日本語Webフォントを取り巻く様々な問題が山積していた中で、Google Fontsが無料で、気軽に、かつ安定的な環境で使える環境を用意してくれたことは、Webフォントが広く認知されるきっかけとしては非常に良かったと思う。
そうして認知されていく間に、マシンやブラウザの性能・技術、Webフォントを表示する環境もちょっとずつ改善されてきたからね。

ただ、僕としてはもっと有料のWebフォントサービスが普及して、みんなが印刷物だけじゃなく、Webサイト上でも思いのままにいろいろなフォントを楽しく使える時代が来て欲しい、というのが本音。
みんながみんな同じNoto SansやNoto Serifなどを使っている現状は、寂しく感じられるもの。
例えばMORISAWA PASSPORTを契約していればTypeSquareが使えるのだから(PV数など多少制約もあるが)、導入すれば良いのにね。
とはいえ、Webサイトの制作を外注していたらまた事情は異なってくるだろうし、他にもコスト面とか安定面とかいろんな不安があって、どうしても無料で無難に使えるGoogle Fontsに帰結してしまう気持ちもわかるけどね。

最初の日本語対応Webフォントサービスの登場から、約10年。
次のステップは、Google Fontsだけでなく、企業や商品、サービスのイメージに合ったフォント、アマチュアであれば、自分の趣味や楽しみの中で使ってみたいフォントなど…。
そういったフォントをWebフォントとして導入し、楽しめる時代が来てくれれば僕は嬉しいかな。

Google Fontsしか利用したことがない、もしくは全くWebフォントに触れたことがない皆さんも、もし興味があればこの記事の最後に記載する「日本語対応Webフォントサービスの例」を参考に、ご自分にとって使いやすそうなWebフォントサービスを探してみてください。
なお、Webフォントサービスで提供されていないフリーフォントなどを自分でWebフォント化・サーバーにアップロードして使用する行為は規約違反(二次配付)とみなされる場合も多々あるので、必ず配付元のサイトの使用条件やReadMeファイルをよく確認し、その内容に従ってください。

それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!


【参考にしたサイト】(いずれも2020.2.13閲覧)
・Google Fonts
https://fonts.google.com/
・Google Fontsで日本語フォントが正式サポート開始!使い方やダウンロード方法など|Web Design Trends
https://webdesign-trends.net/entry/7142

【日本語対応Webフォントサービスの例】
・2020年2月現在の情報です。
・利用するサービスやプランにより、選択可能なフォント数・種類やドメイン数・PV数などの制約がある場合もありますので、予めご確認ください。

●FONTPLUS
フォントワークス、モリサワ、モトヤ、イワタ他、大手が多数参加。
「字間余白の一括削除」など、高度な文字詰め機能に対応。
https://fontplus.jp/

●TypeSquare
「MORISAWA PASSPORT」で使えるフォントの多くが利用可能。
同年間ライセンス契約者が追加料金なしで利用可能なプランも。
https://typesquare.com/ja/

●DynaFont Online
ダイナフォント全般を、「DynaSmart V」契約者は追加料金なしで利用可能。
ブロガーなどアマチュアにも使いやすい「Webフォント導入ツール」も。
https://dfo.dynacw.co.jp/

●FontStream
タイプラボ、欣喜堂、アトリエフォント他、個人作家によるフォント多数。
僕(takumi)が制作した「takumi書痙フォント」も利用可能。
https://www.font-stream.com/

●REALTYPE
タイププロジェクト、秀英体、イワタ他。AXISフォント系多数。
限定したユーザーだけで利用できる「非公開フォント」のサービスも。
https://www.realtype.jp/
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