#23 あなたはどっち?クラフト墨vs遊和 2019/11/10
今年の春、フォントワークスの年間ライセンス「LETS」で昭和書体が使えるようになった。そのラインナップに含まれたフォントのひとつが、「遊和」(ゆうあい)。毛筆の力強い筆致が特徴の他の昭和書体とは一線を画し、やわらかく、ヘタ字っぽくも見えるが優しいデザインだ。LETSで使えるようになってからは、テレビテロップでもよく見られるようになった。
このフォントを最初に見た時に思い出したのが、長年に渡り愛されているダイナコムウェアのフォント「クラフト墨」。何となく「遊和」とテイストが似ている部分もあるように感じる。そこで今回は、この2つのフォント「遊和」と「クラフト墨」を比較してみようと思う。この画像を見て欲しい↓
パッと見て判るのは、太さの違い。クラフト墨よりも遊和の方が太いよね。それに、どちらもヘタ字の部類ではあると思うんだけど、遊和は思い切った筆の動きをしている。その一方でクラフト墨は、筆の動きに拙さが感じられる。遊和は、さすが開発した昭和書体が毛筆フォント専門の会社というだけあって、ヘタ字っぽいけど毛筆の味をよく活かしていると思う。だけどクラフト墨も負けておらず、拙い筆の動きによって、文字の輪郭にデコボコが生まれ、遊和よりも手書きの温かみが感じられるように見える。
僕の印象では、先述したように遊和はクラフト墨より思い切った筆の動きをしているので、働き盛りのオジサンがよく通う飲食店――居酒屋や牛丼屋、ラーメン屋などのメニューに向いていると思う。太さも充分にあって、使い方次第でインパクトを持たせることもできるので、映像のテロップとしても使いやすいだろう。YouTuberなどが自身の動画に準定番フォントとして採用してみるのもアリかもしれない。
一方でクラフト墨は、遊和のような筆の勢いはないものの、遊和よりも画線の太さや文字の大きさに抑揚があって温かみが感じられる。昔ながらの食べ物を売る飲食店――例えばコロッケの店や蕎麦屋、大衆食堂などのメニューに使うと良い感じだね。漫画や小説、映画のタイトルロゴなどにも使用しやすいかも(実際にそういう採用例もある)。
毛筆フォントもそうだし、その他の手書き風フォントもそうだけど、手書きを基に制作されたフォントって、書き手の癖が出やすいよね。その癖を好きになってくれる人もいれば、好みじゃない、と答える人もいるだろうし、万人受けする手書き風フォントの制作はまず無理だろう。それはもちろん、ゴシック体や明朝体など、他のフォントに対しても言えることなんだけど、手書き風フォントは特に、良い意味でも悪い意味でも作者の癖が出やすい気がする。
ちなみに今回挙げたフォントで言えば、僕の好みは「遊和」かな。筆の動きが活き活きとしていて表情がありながら、クラフト墨よりも漢字とかなの大きさが揃っていてきれいに見える所が良いと思う。クラフト墨は漢字よりもかなの方が大きかったり、アンバランスさが目立って気になることがあるんだよね…(それが良さでもあるんだけど)。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【紹介したフォントで試し打ちができるサイト】・DFPクラフト墨W9 TrueType for Win|ダイナコムウェアhttps://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=3418・遊和書体(KSW遊和)|デザインポケットhttps://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=15944
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今年の春、フォントワークスの年間ライセンス「LETS」で昭和書体が使えるようになった。
そのラインナップに含まれたフォントのひとつが、「遊和」(ゆうあい)。
毛筆の力強い筆致が特徴の他の昭和書体とは一線を画し、やわらかく、ヘタ字っぽくも見えるが優しいデザインだ。
LETSで使えるようになってからは、テレビテロップでもよく見られるようになった。
このフォントを最初に見た時に思い出したのが、長年に渡り愛されているダイナコムウェアのフォント「クラフト墨」。
何となく「遊和」とテイストが似ている部分もあるように感じる。
そこで今回は、この2つのフォント「遊和」と「クラフト墨」を比較してみようと思う。
この画像を見て欲しい↓
パッと見て判るのは、太さの違い。
クラフト墨よりも遊和の方が太いよね。
それに、どちらもヘタ字の部類ではあると思うんだけど、遊和は思い切った筆の動きをしている。
その一方でクラフト墨は、筆の動きに拙さが感じられる。
遊和は、さすが開発した昭和書体が毛筆フォント専門の会社というだけあって、ヘタ字っぽいけど毛筆の味をよく活かしていると思う。
だけどクラフト墨も負けておらず、拙い筆の動きによって、文字の輪郭にデコボコが生まれ、遊和よりも手書きの温かみが感じられるように見える。
僕の印象では、先述したように遊和はクラフト墨より思い切った筆の動きをしているので、働き盛りのオジサンがよく通う飲食店――居酒屋や牛丼屋、ラーメン屋などのメニューに向いていると思う。
太さも充分にあって、使い方次第でインパクトを持たせることもできるので、映像のテロップとしても使いやすいだろう。
YouTuberなどが自身の動画に準定番フォントとして採用してみるのもアリかもしれない。
一方でクラフト墨は、遊和のような筆の勢いはないものの、遊和よりも画線の太さや文字の大きさに抑揚があって温かみが感じられる。
昔ながらの食べ物を売る飲食店――例えばコロッケの店や蕎麦屋、大衆食堂などのメニューに使うと良い感じだね。
漫画や小説、映画のタイトルロゴなどにも使用しやすいかも(実際にそういう採用例もある)。
毛筆フォントもそうだし、その他の手書き風フォントもそうだけど、手書きを基に制作されたフォントって、書き手の癖が出やすいよね。
その癖を好きになってくれる人もいれば、好みじゃない、と答える人もいるだろうし、万人受けする手書き風フォントの制作はまず無理だろう。
それはもちろん、ゴシック体や明朝体など、他のフォントに対しても言えることなんだけど、手書き風フォントは特に、良い意味でも悪い意味でも作者の癖が出やすい気がする。
ちなみに今回挙げたフォントで言えば、僕の好みは「遊和」かな。
筆の動きが活き活きとしていて表情がありながら、クラフト墨よりも漢字とかなの大きさが揃っていてきれいに見える所が良いと思う。
クラフト墨は漢字よりもかなの方が大きかったり、アンバランスさが目立って気になることがあるんだよね…(それが良さでもあるんだけど)。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【紹介したフォントで試し打ちができるサイト】
・DFPクラフト墨W9 TrueType for Win|ダイナコムウェア
https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=3418
・遊和書体(KSW遊和)|デザインポケット
https://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=15944
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