#18 外字はどこまで必要? 2019/06/10
和文フォントには、ひらがな・カタカナ、英数字、記号、漢字など、幅広い文字が収容されている。その文字数は(フォントによるが)数千文字から、多いものになると数万文字に及ぶ。フォントデザイナーはたくさんの文字を作ってフォントに収容することで、様々な文字を必要とするユーザーのニーズに応えているわけだね。
しかし、それでも特定の文字が打てずに困ってしまうユーザーはいる。例えば、JIS X 0201・JIS X 0208という規格に準じた(その規格で定められた文字を収容した)TrueTypeフォントでは、「高」の「はしごだか」や「崎」の「たつさき(たちさき)」、丸付き数字などが入力できない。一方で、IBM拡張文字やNEC特殊文字(※1)を収容したフォントなら、「はしごだか」や「たつさき」、丸付き数字(1~20)などを入力することができる。だけどIBM拡張文字・NEC特殊文字にも含まれない電話マークやハートマークなどを入力しようと思うと…また困ることになる。ユーザーがどんな文字を使うかデザイナーには想定しきれないし、そもそも文字というもの自体がこの世の中に絶対に数えきれないほどあるので、ニーズは果てしないよね。
そこで僕が思うのは、ユーザーが使いたいと思うフォントに収容されていない文字(外字)って、フォントデザイナーはどこまで作っておけば良いのか?ということだ。
例えば、プロの方々が使用しているOpenType Std・Proフォントは、Adobe-Japan1-Xという規格に準拠している。最近、新元号「令和」の合字を収容するため、この規格の新しいバージョン(1-7)が発表された。それに続く形で大きいフォントの会社は、自社フォントに順次「令和」の合字を収容していくことを表明した。
しかし、プロのデザイナーの方々の仕事を知らない僕からすると、フォントの収容文字数なんてどこまで拡張してもきりがないし、フォントの会社にとっても購入するユーザーにとってもコストがかかるだけなんじゃないか?と思うけどね…。
ゴシック体や明朝体のように使用頻度の高いフォントは、ある程度使用頻度が高いと思われる外字まで収容しておいて間違いはないだろう。しかし、使用頻度の高くないフォントは、FONT1000プロジェクトがやっていたように、最低限の文字(もしくはエレメント=文字を構成するパーツ)だけ収容して、足りない文字はユーザーに自分で外字を作ってもらう、という形にできないのかな?と考えることもある。あえて多くの文字を作らないようにすることで、フォントの会社や個人のフォントデザイナーは手間もコストも抑えられるし、フォントを安く提供することにも繋がるような気がする。…とはいえ、ユーザーからすれば、購入しようとしているフォントでどういった文字が使えるかはっきりわからなきゃ困るし、フォントの会社としても、使える文字をわかりやすいように明示しておきたいとも思うのだろうし、わかりやすい規格(JIS X 0208とかAdobe Japan1-Xとか)に準拠させているのだろうけど…。
フォントを作ることに対してハードルが高くなる大きな理由のひとつは、収容文字数の多さだ。大きいフォントの会社なら分業できるけど、個人でフォントのデザインをやっている人は、数千文字を全部1人で作らなきゃいけない…という点で、フォント作りになかなか着手できず尻込みしてしまっている人もいると思う。この点をある程度クリアにできれば、フォントを作ろうって思える人が増えて、さらにユニークなフォントが世の中に増えていくんじゃないか…と思う。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【注釈】※1.大抵の市販のTrueTypeフォントには収容されているようだが、これはWindowsに準拠したフォントの仕様なので、Macでは使用できない。そのため、Win・Macハイブリッド版のフォントのパッケージやマニュアルに記載されている収容文字に関する表記を確認すると、Mac用フォントではIBM拡張文字・NEC特殊文字が使えない旨が記載されている場合があったり、そもそもMac用フォント自体を収録していない場合もある。しかしMac OS Xでは、Win用のTrueTypeフォントが使用できる「場合もある」そうだ。(あまり僕はMacに詳しくないので深くは触れられない…)
【参考にしたサイト】(いずれも2019年5月17日閲覧)・外字とは何ですか?|ダイナコムウェアhttps://www.dynacw.co.jp/support/support_faq_detail.aspx?qid=7&fcid=25・Adobe-Japan1なんとかって何?|fontnavihttps://fontnavi.jp/zakkuri/303-adobe-japan1.aspx・Windows用フォントとMac用フォントは違うのか|fontnavihttps://fontnavi.jp/zakkuri/105-font_for_mac_win.aspx・デザイナー自主参加 書体開発プロジェクト「FONT1000」http://font1000.com/・Adobe、新元号対応のため新たな文字集合規格「Adobe-Japan1-7」をリリースへ|スラドhttps://it.srad.jp/story/18/08/22/074254/
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和文フォントには、ひらがな・カタカナ、英数字、記号、漢字など、幅広い文字が収容されている。
その文字数は(フォントによるが)数千文字から、多いものになると数万文字に及ぶ。
フォントデザイナーはたくさんの文字を作ってフォントに収容することで、様々な文字を必要とするユーザーのニーズに応えているわけだね。
しかし、それでも特定の文字が打てずに困ってしまうユーザーはいる。
例えば、JIS X 0201・JIS X 0208という規格に準じた(その規格で定められた文字を収容した)TrueTypeフォントでは、「高」の「はしごだか」や「崎」の「たつさき(たちさき)」、丸付き数字などが入力できない。
一方で、IBM拡張文字やNEC特殊文字(※1)を収容したフォントなら、「はしごだか」や「たつさき」、丸付き数字(1~20)などを入力することができる。
だけどIBM拡張文字・NEC特殊文字にも含まれない電話マークやハートマークなどを入力しようと思うと…また困ることになる。
ユーザーがどんな文字を使うかデザイナーには想定しきれないし、そもそも文字というもの自体がこの世の中に絶対に数えきれないほどあるので、ニーズは果てしないよね。
そこで僕が思うのは、ユーザーが使いたいと思うフォントに収容されていない文字(外字)って、フォントデザイナーはどこまで作っておけば良いのか?ということだ。
例えば、プロの方々が使用しているOpenType Std・Proフォントは、Adobe-Japan1-Xという規格に準拠している。
最近、新元号「令和」の合字を収容するため、この規格の新しいバージョン(1-7)が発表された。
それに続く形で大きいフォントの会社は、自社フォントに順次「令和」の合字を収容していくことを表明した。
しかし、プロのデザイナーの方々の仕事を知らない僕からすると、フォントの収容文字数なんてどこまで拡張してもきりがないし、フォントの会社にとっても購入するユーザーにとってもコストがかかるだけなんじゃないか?と思うけどね…。
ゴシック体や明朝体のように使用頻度の高いフォントは、ある程度使用頻度が高いと思われる外字まで収容しておいて間違いはないだろう。
しかし、使用頻度の高くないフォントは、FONT1000プロジェクトがやっていたように、最低限の文字(もしくはエレメント=文字を構成するパーツ)だけ収容して、足りない文字はユーザーに自分で外字を作ってもらう、という形にできないのかな?と考えることもある。
あえて多くの文字を作らないようにすることで、フォントの会社や個人のフォントデザイナーは手間もコストも抑えられるし、フォントを安く提供することにも繋がるような気がする。
…とはいえ、ユーザーからすれば、購入しようとしているフォントでどういった文字が使えるかはっきりわからなきゃ困るし、フォントの会社としても、使える文字をわかりやすいように明示しておきたいとも思うのだろうし、わかりやすい規格(JIS X 0208とかAdobe Japan1-Xとか)に準拠させているのだろうけど…。
フォントを作ることに対してハードルが高くなる大きな理由のひとつは、収容文字数の多さだ。
大きいフォントの会社なら分業できるけど、個人でフォントのデザインをやっている人は、数千文字を全部1人で作らなきゃいけない…という点で、フォント作りになかなか着手できず尻込みしてしまっている人もいると思う。
この点をある程度クリアにできれば、フォントを作ろうって思える人が増えて、さらにユニークなフォントが世の中に増えていくんじゃないか…と思う。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【注釈】
※1.大抵の市販のTrueTypeフォントには収容されているようだが、これはWindowsに準拠したフォントの仕様なので、Macでは使用できない。そのため、Win・Macハイブリッド版のフォントのパッケージやマニュアルに記載されている収容文字に関する表記を確認すると、Mac用フォントではIBM拡張文字・NEC特殊文字が使えない旨が記載されている場合があったり、そもそもMac用フォント自体を収録していない場合もある。しかしMac OS Xでは、Win用のTrueTypeフォントが使用できる「場合もある」そうだ。(あまり僕はMacに詳しくないので深くは触れられない…)
【参考にしたサイト】(いずれも2019年5月17日閲覧)
・外字とは何ですか?|ダイナコムウェア
https://www.dynacw.co.jp/support/support_faq_detail.aspx?qid=7&fcid=25
・Adobe-Japan1なんとかって何?|fontnavi
https://fontnavi.jp/zakkuri/303-adobe-japan1.aspx
・Windows用フォントとMac用フォントは違うのか|fontnavi
https://fontnavi.jp/zakkuri/105-font_for_mac_win.aspx
・デザイナー自主参加 書体開発プロジェクト「FONT1000」
http://font1000.com/
・Adobe、新元号対応のため新たな文字集合規格「Adobe-Japan1-7」をリリースへ|スラド
https://it.srad.jp/story/18/08/22/074254/
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