#17 ダイナフォント 平成最後の大きな決断? 2019/05/10
1990年代中盤から、安価なTrueTypeフォントのパッケージ販売を始めたダイナコムウェア。以後2020年東京オリンピックを控えた現在まで20年以上販売され続け、平成を支えてくれた。他社も影響され、似たようなパッケージ製品の販売をしていたことがあったが、売り切り制のパッケージ販売では思うように利益が取れないのか、現在では販売終了してしまい、入手困難になった製品も多い。その中でダイナコムウェアは、買い切り制フォントを長らく提供してくれた。
しかし3月、ダイナコムウェアからDynaSmartシリーズ大幅見直しの発表があった。これにより、パッケージ製品「TypeMuseum」の販売が終了し、4月19日以降、同様のサービス(TrueTypeフォント)の提供は、『DynaSmart T』という新サービスにて行われる形に変わった。例えば「3年版」の場合だと、TrueTypeフォントの3年分の使用権が2万円弱で提供される。つまり、インターネット黎明期から20年以上続けた売り切り制のパッケージ販売を止めて、年間ライセンス方式に切り替えた、ということだ…。
年間ライセンスになることでメリットがあるとすれば、ダイナコムウェアいわく、「書体が追加され、話題の書体が使える」「オンラインインストーラで最新の書体環境を提供」してくれることだろう。他社の年間ライセンス同様に、新書体を追加料金なしで提供してくれたり、フォントファイルに変更が発生した時に、迅速に対応してくれることを期待している。早速の動きとして、5月末までに、ダイナフォント全書体が新元号「令和」に対応(合字を収容)し、DynaSmartシリーズのオンラインインストーラからアップデートできるようにしてくれるとのことで、楽しみだ。
それにパッケージ販売だと、ディスクを災害などで消失した時にサポートが受けられないと、悲惨な結果になると思う。パッケージの販売開始から数年経てば、サポートが終了しちゃうし、サポートが続いていても、ユーザーの過失だとかウチは知らないとか言われたらユーザーは泣くしかないからね。その点、年間ライセンスなら、最近はディスクを使わずにオンラインでフォントをインストールできるケースが多いし、契約解除しない限りはサポートも続くから、そこは安心だ。
ただ、やっぱり僕のようなフォントオタクは、フォントのコレクションを楽しんでいるし、パッケージでフォントを蒐集できなくなるのはカナシイ…。
フォントに限らず近頃は、まるで携帯会社との契約みたいに、月(もしくは年)ごとにお金を払って提供されるソフトウェアやサービスが増えている気がする。サービスを提供する会社としては、安定した収益が得られる、というのが大きいのかな。それに顧客がその会社と契約している間は、アップデートとかその他サポートとかがずっと受けられる、というのもメリットなのだろう。ま、ユーザーの立場からすれば、「あ、結局利益なんだな」で片付く話なんだけど…(笑)。
しかし最近リリースされるダイナフォントは、「安いなり」のクオリティから脱却して、かなり力を入れているな、と僕は感じている。ユーザーのニーズに応えることと、会社の利益と、上手くバランスを取ろうとしているな、と思うんだよ。他のフォントベンダーの動きも意識しつつ、自社にしかできないサービス展開を目指して頑張っているのがわかる。
いつもフォントのことになると毒を吐く僕だけど、どこまでもついて行きたい、と思えるフォントベンダーはダイナコムウェア、だからね。だからこの「令和」時代も、ダイナフォントと、ダイナコムウェアのこれからを応援し続けたいと僕は思う。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】・さらに使いやすく、「DynaSmart」シリーズが、4月19日に、生まれ変わります(2019.4.20閲覧)https://www.dynacw.co.jp/news/news_detail.aspx?s=690&r=8・文字文化を伝えるダイナフォントが、新元号「令和」の合字を日本語全書体に対応。(2019.4.20閲覧)https://www.dynacw.co.jp/news/news_detail.aspx?s=695
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1990年代中盤から、安価なTrueTypeフォントのパッケージ販売を始めたダイナコムウェア。
以後2020年東京オリンピックを控えた現在まで20年以上販売され続け、平成を支えてくれた。
他社も影響され、似たようなパッケージ製品の販売をしていたことがあったが、売り切り制のパッケージ販売では思うように利益が取れないのか、現在では販売終了してしまい、入手困難になった製品も多い。
その中でダイナコムウェアは、買い切り制フォントを長らく提供してくれた。
しかし3月、ダイナコムウェアからDynaSmartシリーズ大幅見直しの発表があった。
これにより、パッケージ製品「TypeMuseum」の販売が終了し、4月19日以降、同様のサービス(TrueTypeフォント)の提供は、『DynaSmart T』という新サービスにて行われる形に変わった。
例えば「3年版」の場合だと、TrueTypeフォントの3年分の使用権が2万円弱で提供される。
つまり、インターネット黎明期から20年以上続けた売り切り制のパッケージ販売を止めて、年間ライセンス方式に切り替えた、ということだ…。
年間ライセンスになることでメリットがあるとすれば、ダイナコムウェアいわく、「書体が追加され、話題の書体が使える」「オンラインインストーラで最新の書体環境を提供」してくれることだろう。
他社の年間ライセンス同様に、新書体を追加料金なしで提供してくれたり、フォントファイルに変更が発生した時に、迅速に対応してくれることを期待している。
早速の動きとして、5月末までに、ダイナフォント全書体が新元号「令和」に対応(合字を収容)し、DynaSmartシリーズのオンラインインストーラからアップデートできるようにしてくれるとのことで、楽しみだ。
それにパッケージ販売だと、ディスクを災害などで消失した時にサポートが受けられないと、悲惨な結果になると思う。
パッケージの販売開始から数年経てば、サポートが終了しちゃうし、サポートが続いていても、ユーザーの過失だとかウチは知らないとか言われたらユーザーは泣くしかないからね。
その点、年間ライセンスなら、最近はディスクを使わずにオンラインでフォントをインストールできるケースが多いし、契約解除しない限りはサポートも続くから、そこは安心だ。
ただ、やっぱり僕のようなフォントオタクは、フォントのコレクションを楽しんでいるし、パッケージでフォントを蒐集できなくなるのはカナシイ…。
フォントに限らず近頃は、まるで携帯会社との契約みたいに、月(もしくは年)ごとにお金を払って提供されるソフトウェアやサービスが増えている気がする。
サービスを提供する会社としては、安定した収益が得られる、というのが大きいのかな。
それに顧客がその会社と契約している間は、アップデートとかその他サポートとかがずっと受けられる、というのもメリットなのだろう。
ま、ユーザーの立場からすれば、「あ、結局利益なんだな」で片付く話なんだけど…(笑)。
しかし最近リリースされるダイナフォントは、「安いなり」のクオリティから脱却して、かなり力を入れているな、と僕は感じている。
ユーザーのニーズに応えることと、会社の利益と、上手くバランスを取ろうとしているな、と思うんだよ。
他のフォントベンダーの動きも意識しつつ、自社にしかできないサービス展開を目指して頑張っているのがわかる。
いつもフォントのことになると毒を吐く僕だけど、どこまでもついて行きたい、と思えるフォントベンダーはダイナコムウェア、だからね。
だからこの「令和」時代も、ダイナフォントと、ダイナコムウェアのこれからを応援し続けたいと僕は思う。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】
・さらに使いやすく、「DynaSmart」シリーズが、4月19日に、生まれ変わります(2019.4.20閲覧)
https://www.dynacw.co.jp/news/news_detail.aspx?s=690&r=8
・文字文化を伝えるダイナフォントが、新元号「令和」の合字を日本語全書体に対応。(2019.4.20閲覧)
https://www.dynacw.co.jp/news/news_detail.aspx?s=695
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