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#09 プロでも扱いづらい?かなフォント
2018/09/10
7月に、タイプラボから『えれがんと平成明朝』が頒布開始された。
長らくタイプラボで頒布されていた『えれがんと』はかな文字のみのフォントで、フォントワークスの年間ライセンスを契約して、『マティスえれがんと』を使わない限り、かなと漢字の混植済みの『えれがんと』は使えなかったし、こういう配慮はとてもありがたい。
そこで思ったのは、かなだけのフォントって、漢字も必要な場面で使いたい時には、扱いづらいこともしばしばあるよなぁ、と…。
今回は、アマチュアはもちろんのこと、時にはプロでも扱いづらいと感じることもあるであろうかなフォントの話をしようと思う。

プロであれば、かな文字だけのフォントであっても、IllustratorやInDesignなどのアプリにある「合成フォント」機能を使って、かなと漢字を混植して使うことができる。
アマチュアでも、Wordの「文字列の置換」機能を使えば擬似的な混植も可能なんだけど、やはり少し面倒で、気軽に…とは行かない。
だからアマチュアにとっては特に、混植というのはハードルの高いものだ。
合成フォント機能が使えるアプリがなければ、かなフォントで一度文字を打ち込んで、漢字が出てこなかった所は、1~数文字ずつドラッグ(選択)したりしてフォントを変更しなきゃいけないしね。とても面倒だ。

これはアマチュアだけが悩む問題かと思いきや、いろんなかなフォントの使用例を見ていると、合成フォント機能のあるアプリが扱えるプロでさえ、混植は面倒だから躊躇しているんじゃないか?と思うことがある。
例えば、DTPに於けるシェアNo.1のモリサワは、自社の漢字も使えるフォントと混植して使えるかなフォントを多く提供している。
しかし、そういったかなフォントは、他の漢字も使えるフォントと比べると、見かける頻度が少ない気がする。
見かけたとしても、ロゴや、かな文字の多い場面など、ピンポイントにだけ使われていたりする。
汎用性の高いデザインのかなフォントや、本文用と謳われているかなフォントでも、実際に本文での使用例(合成フォント機能を使わなければまず叶わないだろう)が見られることは少ないように思える。
混植には手間がかかり、そもそも特定のアプリを使わないとできないということをわかってか、フォントワークスの場合だと、かなフォントは、全て同社のロダンやマティスなどとの混植済みのフォントのみを提供している。

だからどこかのフォントベンダーが、特別な技術がなくても簡単にかなと漢字を混植できるアプリを出してくれれば良いのにな、と思う。

過去にキヤノンが、『FontComposer』という自社のFontGallery(フォントパック)収録の漢字も使えるフォントとかなフォントを混植できるアプリをFontGalleryに付属して販売していたことがあった(2007年に販売終了)。
これは、アプリ上で混植したり、混植を解除したりが簡単にできたのだ。
もちろん混植したフォントは、WordやExcel、あるいはプロ用のIllustratorやInDesignなどのアプリでも扱えた。
とはいえライセンスの問題があり、他社フォントは勝手にいじれなかったからか、混植(解除)ができたのは、FontGallery収録フォントだけだったけどね。

たぶんこういうことは他社がやることも不可能じゃないんだろうけど、キヤノンが気を遣っていた(?)ように、方法を間違えれば、フォントファイルそのものの改変になりかねない。
そうなると、ライセンスの問題も絡んでくるよね。
だから、簡単には解決できない問題だし、どこのベンダーも慎重になっているのだろう。

かな文字のフォントは、文字数が少ないから、フォント作者やフォントベンダーにとっても、作りやすいし、実際にたくさんリリースされている。
しかし、先述したように混植の手間がかかるので、敬遠されがちな現状もあるのが惜しい。
混植の手間が惜しまれるがために日の目を見られないかなフォントって、きっとたくさんあると思うんだよ。
だから、せめてモリサワのような大手フォントベンダーには、混植済みのフォントを提供してくれるか、先述したキヤノンのFontComposerのような、自社の漢字も使えるフォントとかなフォントを簡単に混植できるようなアプリを提供してくれることを望む。
それもできれば、個人でも気軽に使えるような形でね(高望みし過ぎか…)。

それでは、来月の記事をお楽しみに。ィヨロシク!!

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