フォント比較:JTCじゃんけんUとユールカUB 2017/06/17(Sat)
イメージのよく似たフォント2つ。ニィスフォントの『JTCじゃんけんU』(以下、じゃんけん)と、フォントワークスの『ユールカ-UB』(以下、ユールカ)を比較してみる。
まず、じゃんけん。2000年前後にやたら流行ったフォントだ。
ニィスフォントの紹介ページには、こうある。いろいろなところで活躍しているニィスフォントの人気書体の一つです。ほがらか、楽しい、自然、素朴なイメージです。
そしてユールカ。こちらは比較的最近リリースされたフォントだ。フォントワークスのフォント紹介ページによれば…遊び心のある脱力系の“ゆるい”書体です。ひと文字がそれぞれ不安定かつユニークなデザインで、手描き風書体のもつ《あたたかい》《やさしい》《素朴》を表現するのに最適で、さらには極太ウエイトならではの《柔らか》《ほがらか》な表情をもつ書体です。
※↑の画像はどちらもベタ組。※文章はWikipedia「フォント」の項目より。
じゃんけんが完全に角ゴシック系のデザイン書体なのに対し、ユールカは線端がわずかに丸みを帯びている。また、ユールカに比べると、じゃんけんは漢字より「かな」が小ぶりにデザインされていて、ツメ組した時により親しみやすさ(かわいらしさ)を持たすことができるよね。
ユールカの評価できる点は、これだけおどけたデザインなのに、漢字がツブれないように細かい処理が施してある所だ。また、じゃんけんは、第二水準漢字が94文字しか収録されていないのに対し(ニィスフォントの「文字セット」のページを参照)、ユールカは、第一・第二水準、IBM拡張文字、NEC特殊文字まで(AJ1-3に準拠した文字が)全て使える。じゃんけんと比べても、ベタ組に強いようにも感じる。
実際、FWからユールカがリリースされて以降、それが代わりに使われ、じゃんけんの使用例が減ったようにも感じた。
ただ…↑は、それぞれのフォントが持つ機能(プロポーショナルメトリクス) でツメ組している。
こうして見るとどうだろう。僕は、ユールカの方が丸くてコロコロしていてかわいいんだけど、悪く言えばゴテゴテして見えて、一文字一文字の可読性に欠けるように感じる。ユールカの遊び心は好きなんだけど、(可読性に欠けるから)ちょっと遊び過ぎ?なんて思ったりもする。
一方で、じゃんけんは、ベタ組には向いていないけど、ちょっとツメて組んでやると良い感じになる。ユールカよりも文字の大きさにばらつきがあるように見え、比較的シンプルな直線や曲線で構成されており、ユールカよりも遊び心が感じられる。なのに不思議と、ユールカより可読性は高く見える。かつて流行った理由がわかる気がするね。
どちらのフォントも、極太ウェイトだからこそ実現できたデザインという感じ。これが細いウェイトでデザインされていたら、たぶん間違いなく物足りないものになるだろう。どんなフォントもファミリー展開すれば良いってものじゃないよね。
――いつも僕はこうやってフォントの批評をしているけど、これってとても難しいんだよ。その良さ・悪さは、絵画や骨董品を鑑賞する時もそうであるように、「目で見て感じる」ものだから、口で説明しろと言われても、なかなか上手くは説明できない。だけども、その良さ・悪さがなかなかわからない、って人には、口で「(僕は)こういう所が良い(と思う)んだよ」って説明してあげないと、なかなか伝わらない…。
フォントベンダーの謳い文句や、世間での評価に左右されず、「自分の目」で良いフォントを見極めて、自分だけの好きなフォントを選ぶようにできるのが理想だね。同じフォントオタクでも、それができる人と、僕は仲良くなりたい。(なかなかいないけどね)
以上、ィヨロシク!!
スポンサーサイト
イメージのよく似たフォント2つ。
ニィスフォントの『JTCじゃんけんU』(以下、じゃんけん)と、フォントワークスの『ユールカ-UB』(以下、ユールカ)を比較してみる。
まず、じゃんけん。
2000年前後にやたら流行ったフォントだ。
ニィスフォントの紹介ページには、こうある。
いろいろなところで活躍しているニィスフォントの人気書体の一つです。ほがらか、楽しい、自然、素朴なイメージです。

そしてユールカ。
こちらは比較的最近リリースされたフォントだ。
フォントワークスのフォント紹介ページによれば…
遊び心のある脱力系の“ゆるい”書体です。ひと文字がそれぞれ不安定かつユニークなデザインで、手描き風書体のもつ《あたたかい》《やさしい》《素朴》を表現するのに最適で、さらには極太ウエイトならではの《柔らか》《ほがらか》な表情をもつ書体です。
※↑の画像はどちらもベタ組。
※文章はWikipedia「フォント」の項目より。
じゃんけんが完全に角ゴシック系のデザイン書体なのに対し、ユールカは線端がわずかに丸みを帯びている。
また、ユールカに比べると、じゃんけんは漢字より「かな」が小ぶりにデザインされていて、ツメ組した時により親しみやすさ(かわいらしさ)を持たすことができるよね。
ユールカの評価できる点は、これだけおどけたデザインなのに、漢字がツブれないように細かい処理が施してある所だ。
また、じゃんけんは、第二水準漢字が94文字しか収録されていないのに対し(ニィスフォントの「文字セット」のページを参照)、ユールカは、第一・第二水準、IBM拡張文字、NEC特殊文字まで(AJ1-3に準拠した文字が)全て使える。
じゃんけんと比べても、ベタ組に強いようにも感じる。
実際、FWからユールカがリリースされて以降、それが代わりに使われ、じゃんけんの使用例が減ったようにも感じた。
ただ…
↑は、それぞれのフォントが持つ機能(プロポーショナルメトリクス) でツメ組している。
こうして見るとどうだろう。
僕は、ユールカの方が丸くてコロコロしていてかわいいんだけど、悪く言えばゴテゴテして見えて、一文字一文字の可読性に欠けるように感じる。
ユールカの遊び心は好きなんだけど、(可読性に欠けるから)ちょっと遊び過ぎ?なんて思ったりもする。
一方で、じゃんけんは、ベタ組には向いていないけど、ちょっとツメて組んでやると良い感じになる。
ユールカよりも文字の大きさにばらつきがあるように見え、比較的シンプルな直線や曲線で構成されており、ユールカよりも遊び心が感じられる。
なのに不思議と、ユールカより可読性は高く見える。
かつて流行った理由がわかる気がするね。
どちらのフォントも、極太ウェイトだからこそ実現できたデザインという感じ。
これが細いウェイトでデザインされていたら、たぶん間違いなく物足りないものになるだろう。
どんなフォントもファミリー展開すれば良いってものじゃないよね。
――いつも僕はこうやってフォントの批評をしているけど、これってとても難しいんだよ。
その良さ・悪さは、絵画や骨董品を鑑賞する時もそうであるように、「目で見て感じる」ものだから、口で説明しろと言われても、なかなか上手くは説明できない。
だけども、その良さ・悪さがなかなかわからない、って人には、口で「(僕は)こういう所が良い(と思う)んだよ」って説明してあげないと、なかなか伝わらない…。
フォントベンダーの謳い文句や、世間での評価に左右されず、「自分の目」で良いフォントを見極めて、自分だけの好きなフォントを選ぶようにできるのが理想だね。
同じフォントオタクでも、それができる人と、僕は仲良くなりたい。(なかなかいないけどね)
以上、ィヨロシク!!
スポンサーサイト
コメント