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『UD新ゴ』についての考察
2014/01/11(Sat)
2017.9.15
記事の閲覧者が多いので、内容を読みやすいよう再編集しました。


近頃、UDフォントというものをよく目にするようになった。
UDフォントのUDはユニバーサルデザインの略で、それに配慮して作られたフォントのことだ。
(UDフォントとは何か、そのコンセプトは、UDフォントの先駆けであるイワタのHPに載っているので参考にしてね)

ここでは、ここ数年で使用例が急速に増えていった『UD新ゴ』というフォントについて考えてみたい。
以前に話した『新ゴ』と同じく、モリサワが開発したフォントで、この新ゴがベースになっている。 
UDフォントはUD新ゴの他にもいろんなフォントがあるが、ここではあえて、最近使用例が特に増えてきたUD新ゴに絞って話を進めていく。


僕はUD新ゴについて、Twitterでやたら批判しているけど、ここではできる限り客観的に見て、考えていく。
おかしなことはなるべく書かないようにするけど、もし書いていたら許して欲しい。

UD新ゴとは、こんな文字↓。
上から順に、L,R,M,DB,B,Hウェイト。
UD新ゴL
UD新ゴR
UD新ゴM
UD新ゴDB
UD新ゴB
UD新ゴH
 
新ゴにあるELとUウェイトがないんだよね。

UDフォント全般に言えることだが、ほとんどは本文向きの太さしか用意されていない。
本文で多く使われることを想定しているから、だと思う。
だからモリサワのこのUD新ゴのようにHウェイトまで用意されている例って、結構珍しいのだ。

UDフォントというのはモリサワが初めて開発したものでもモリサワだけのものでもなく、前で述べたようにイワタという会社(フォントベンダー)が2006年頃に最初に発表した。
現在では、モリサワの契約で使える大日本スクリーン(ヒラギノフォント)やタイプバンクフォント、モトヤフォントやダイナフォントまで、あらゆる会社がUDフォントを出している。
(フォントワークスのようにUDフォントをあえて(?)販売していない会社も存在する。→しかし2015年に、フォントワークスもついに新書体としてUDフォントをリリースした

イワタがUDフォントを発表した3年後の2009年に、モリサワがUDフォントの販売を始めたようだ。
モリサワがUDフォントを出したのは、おそらく「イワタに負けてられん…!」という気持ちがあったのだろう。

モリサワからUDフォントが発表されたのは、イワタよりもずっと遅い。
それなのにモリサワのUDフォントが一般的になってきたのは単純な話で、プロのデザイナーの人はモリサワの年間契約(毎年決まった額を払えばモリサワの全書体が使える)でモリサワフォントを使っていることが多いからだろう。


――前置きが長くなったが、UD新ゴの話に移ろう。

パッと見、新ゴと見分けがつかない、という人でも、「な」や「り」の文字を見ればUD新ゴであるとひと目でわかるだろう。
カクカクした文字や、文字を構成するラインが入り組んだ文字が嫌いな人には使いやすいかもしれない。


それから、UD新ゴの英数字についてだが、これはこのUD新ゴのためにデザインされたものでなく、同じくモリサワが2009年より販売開始した欧文フォント『ClearTone SG』のデザインだ。(前述の画像に載せた英数字がそれ。)
この英数字は、僕個人的には大好きなんだよね。
UDとか別で、すごく未来的なイメージで。
しかし、別物であるから当然なのだが、新ゴの英数字のデザインとは大きく異なる。
新ゴ&UD新ゴ英数字 
こうやって英数字だけ見れば、UD新ゴの英数字(ClearTone SG)の方がすっきり見えるよね。
ゴシック体ではただの縦棒になりがちな英小文字「l」(エル)も、UD新ゴでは区別しやすくなっている。(この辺は、他社のUDフォントでも配慮されていることだが。)

しかし、「あくまでも新ゴ」と考えた場合、英数字をここまで異なるデザインの欧文を採用した、というのはどうかと思う。
英数字だけでは、新ゴらしさ(新ゴのカクカクした感じ)は見られないよね。


それでは、もっとも文中で多くなるであろう「かな」はどうだろうか。
冒頭で、「僕はUD新ゴをTwitterで批判している」と述べた。
その最大の理由は、「かな」の格好悪さにあるのだ。 
以下にわかりやすいかどうかわからないが、例を挙げる。
新ゴ&UD新ゴ濁音と半濁音 
僕がUD新ゴでいちばん嫌な文字が、このかなの濁音・半濁音の文字なのだ。

UDフォントの特徴のひとつとして、「濁点や半濁点が大きい」というのがある。
フォントにもよるが、濁点や半濁点は小さいもので、見づらいこともあるからだろう。

しかしUD新ゴの場合、濁点や半濁点を入れるために、かなをいじりすぎているような気がする。
例えば「が」や「ぱ」は、濁点や半濁点のスペースを確保するためか、他の文字に比べてかな本体が少し小さめに感じられる。
また、「グ」「ゴ」「ダ」「ブ」「プ」などは、濁点や半濁点が存在を主張しすぎていて、かな本体がかなりブサイクに見える。

あと、ここまでの話とあまり繋がりのない話になるが、ここからが大事だ。
これは新ゴの時にも話したが、やはり「新ゴ使えばいい」と同様に、「UD新ゴ使えばいい」という考えがあるんじゃないかと思う。
UD新ゴが使われている場面を見てると、「ユニバーサルデザインへの配慮かな~」と思うこともあれば、キャッチコピーにまで使われていることもあるし、ユニバーサルデザインなんて関係なく使われているんじゃないか、と思う場面も結構見かけるんだよね。

もちろんユニバーサルデザインに配慮したい媒体向けのフォントとモリサワが謳っているからと言って、それにとらわれる必要はないし、それがイメージに合うなら自由に使えば良いのだが、僕が見ている限り、UD新ゴが発売されて以降、使用例を見てると、「新ゴは(大げさな言い方だが)片っ端からUD新ゴに置き換えればいい」という考えが伝わってこなくもない。

前述のように、UD新ゴは文字としてはブサイクな面もかなりある。
これはUD新ゴに限ったことではなく、UDフォント自体が、クオリティの面では劣る場合が多いように思う。
それをある程度は考えた上で使って欲しいと思うな。


前に書いた新ゴの考察の記事、見てくれた人多かったみたいだね。ありがとう。
このブログ、最近は日記ばかりでマンネリ化してたし、たまには良いかなぁと思ってね。
こういうフォントについての考察って、誰かがやってそうで意外とやってないんだよね。


以上、ィヨロシク!!
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