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#71 変幻自在のバリアブルフォント
2023/11/10
最近話題になっている、新しい技術を用いて作られたフォント「バリアブルフォント」。
従来のフォントと異なり、文字のウェイト(太さ)を自由自在に調整できるフォントだ。
今回は、そんなバリアブルフォントについて思うことを話そうと思う。
(なお、バリアブルフォントはそのフォントによって、ウェイト以外の見た目も調整可能な場合があるが、この記事では「ウェイト」にのみスポットを当てる。)

まずバリアブルフォントとは何か、従来のフォントと比較しながら説明しよう。
従来のフォントでは、予め用意されたいくつかのフォントのウェイトのバリエーションの中から自分の目的に合ったフォントを選択する必要があった。
そのため、そのバリエーションの中に自分の目的にマッチするウェイトがあれば良いんだけど、無ければどうしようもないんだよね。
しかしバリアブルフォントであれば、数値を微調整するだけで、思うままのウェイトを選択することができるのだ!
参考に、2021年に発表されたバリアブルフォント「Noto Sans JP」を挙げる↓
NotoSansJPVF.jpg
Noto Sans JPの場合、一番細いウェイトは数値が「100」、一番太いウェイトは「900」となっている。
上の画像では25刻みでウェイトを設定したが、もちろんもっと細かい調整も可能だ。
まさに「かゆいところに手が届く」フォントといえるだろう。
また従来のフォントは、1ウェイトごとに1つのフォントファイルが用意されており、複数のウェイトのフォントをインストールする場合はフォントファイルの容量が気になる場合もあった。
たくさんのフォントをインストールすると、PCに大きな負荷がかかってしまうからね。
しかしバリアブルフォントであれば、1つのフォントファイルに細いウェイトから太いウェイトまで、すべてを網羅するフォントデータが含まれているのにデータ容量が軽いので、PCへの負荷を大幅に軽減できる。

一番のメリットはウェイトを自由自在に変えられることだと思うが、「そんなに細かくウェイト調整しなくても、既存のウェイトで事足りるのでは?」という意見もあるだろう。
だが説明書の本文だったり広告の注釈だったり、「じっくり読んでもらう」ことが目的な場面では、ほんの少し文字が細かったり太かったりしただけで読みづらくなってしまい、読み手にストレスを与えてしまう可能性がある。
そういう場面で使い手がバリアブルフォントを指定し、読みやすいウェイトを設定する、そんな配慮ができたら良いんじゃないかな。
それに今は紙面だけでなく、PCやスマホ、タブレットなど、様々な画面上で文字を読む時代だ。
Webサイトや電子書籍など、画面上に表示される文字をユーザーが読みやすい太さに調整できるシステムがバリアブルフォントによって叶うかもしれない。
画面上の文字を読む時は、紙面上の文字を読む時よりも目にストレスがかかりやすいからね。
今までも端末の設定画面などに文字の大きさを変更するオプションがあったが、そこに文字の太さを微調整するオプションが加われば、よりやさしいデザインになると思う。

しかし、バリアブルフォントの現時点での致命的な欠点は、やはり使えるアプリが限られていることだろう。
2023年時点では、Adobeがリリースしているごく一部のアプリの、かなり新しいバージョンでしか使うことができない。
バリアブルフォントにまったく対応していないアプリでは、そもそもフォントリストに表示すらされない場合もある。
僕としては、プロだけでなくアマチュアもバリアブルフォントに触れられるよう、アプリの開発元が対応してくれたらと思うけど…。
それに使える環境が限られている以上、誰かとバリアブルフォントを使ったデータをやり取りする際にはフォントが正しく読み込めないなどのトラブルが発生するリスクも考えられる。
画期的なフォントではあると思うし、どんなアプリでも使えるような時代が到来すればきっと活躍すると思うけど、一部のアプリでしか使えないことによるリスクが払拭できない限りは、普及は難しいようにも思う。
「限られたウェイトしか使えない」というフォントの常識をぶち破ってくれたバリアブルフォント、果たして今後普及していくのだろうか…。

それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!

【参考にしたサイト】(いずれも2023.10.14閲覧)
●Noto Sans Japanese(Google Fonts)
今回紹介したバリアブルフォント「Noto Sans JP」はここから無料でダウンロードできます(画面右上の「Download family」をクリック)。
https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JP?vfonly=true&subset=japanese&noto.script=Hira
●文字アカデミー 番外編2 バリアブルフォント(ダイナフォントストーリー)
「バリアブルフォント」について、とてもわかりやすく解説されています。
https://www.dynacw.co.jp/fontstory/fontstory_detail.aspx?s=563
●「フォントの日 2021」と源ノ角ゴシックのバリアブルフォント化(DTP Transit)
https://dtptransit.design/fonts/font-day-2021.html
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