#70 新しいフォントサービスはふぉんとに大丈夫? 2023/10/10
先月、Adobe Fontsにて数日に渡りフォントが利用できなくなる障害が発生した。
趣味でフォントを使っている人ならまだしも、仕事でフォントを使っている人たちにとっては致命的といえるトラブルだ。
実際、SNSにもそういった投稿が上がっていた。
今回はAdobe Fontsもそうだが、近年主流になりつつある新しいフォントサービスについて、思うことを書いてみようと思う。
まずAdobe Fontsについてよく知らない人のために軽く説明すると、これはAdobe Creative Cloudを契約し、IllustratorやPhotoshopなどのアプリを利用している人が利用できるフォントサービスだ。
自分で購入したフォントをインストーラなどを利用して、もしくはフォントファイルを直接PCのフォントフォルダにドラッグ&ドロップするなどしてインストールする従来のフォントの使い方と異なり、Adobe Fontsを利用する時はWebサイトから自分のアカウントにログインして利用したいフォントのスイッチをONに(アクティベート)することで、フォントが自分のPCに「配信」され、利用できるシステムになっている。
しかしこれにはネットワーク環境が必須なので、ネットワークに何らかのトラブルが起きれば当然利用できなくなる…。
自宅や会社のネットワークであれば自分たちでどうにかすれば良いことだが、Adobe Fonts側の問題でフォントが使えないとなれば、ユーザーは為す術が無い。
2023年の今ではAdobe Fontsに限らず、フォントワークスの「LETS」やモリサワの「Morisawa Fonts」も、Adobe Fontsと同じようにWebサイトから利用したいフォントをアクティベートすることでフォントが利用できるシステムを採用している。
このようなフォント配信システムでは、ユーザーがアクティベートしたフォントファイルの存在を確認できない状態で配信されるため、フォントの不正コピーを防ぐことができると考えられる。
加えて、従来ならばフォントをインストールしたPCが故障した際、バックアップを取っていなければそのフォントを救出できなかったり、シリアルキーを入力・認証してインストールするシステムであればPCが故障した時にそのことをフォントベンダーに報告してシリアルキーを再度使える状態にしてもらえないと新しいPCでフォントが再インストールできなかったりする不便さがあったが、Webからの配信システムなら、ログインして自分のアカウントにアクセスするだけで、どのPCでフォントを使うかの割り当てや解除が簡単にできる。
以上のようなメリットがある一方、今回Adobe Fontsで障害が発生したことからわかるように、安定性の面で不安があるのは間違いない。
僕もAdobe Fontsを利用していた時に、アクティベートしたはずのフォントがなぜか自分が使っているアプリのフォントリストに反映されず困ったことがある。
また、LETSやMorisawa Fontsでも、専用のアプリで同期エラーが度々発生し、突然フォントが使えなくなることもあった。
これらはアクティベートやログインをやり直すことですぐに改善したものの、従来のネットワーク環境を必要としないフォントサービスと比べるとどう考えても不安定だし、仕事でフォントを使っている人は困ることもあるんじゃないだろうか、と思っていた矢先にAdobe Fontsの障害が発生した。
ちなみにMorisawa Fontsでは、ユーザー側、もしくはサービス側に何らかのトラブルが発生した時のことを想定してか、ネットワーク接続がOFFになっても10日間はオフラインで使える救済措置(?)を用意しており、またネットワークが一切利用できないユーザーへのフォント提供方法も検討中とのこと。
これにどこまで期待して良いのかはわからないけどね…。
しかしAdobe FontsはIllustratorやPhotoshopなど、Adobeのアプリに付随するサービスに過ぎないし、今回障害が発生したからってサービスの利便性・安定性が改善されることは、あまり期待できないと個人的には思う。
ネットワークでフォントを「配信」して提供する新しいフォントサービスは、これからもっとメジャーなものになっていくだろうし、ユーザーがどんなに不満を唱えても二度と従来の(オフライン環境でも安心して使える)フォントサービスに戻ることは無いだろう。
フォントベンダーは新しいフォントの提供方法について、いろいろとメリットばかりをピックアップして宣伝しているけど、長く使っているユーザーがこれからも安心して使い続けられるよう、サービスを改善してもらいたいね。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(2023.9.16閲覧)
●インターネットに接続していない環境ではどうなりますか?(Morisawa Fonts 移行サポートサイト)
「一時的であれば、10日間はオフラインでも使用可能です。」
「完全にインターネット接続が不可能なお客様につきましては、別途ご提供方法を検討中ですので、続報をお待ちください。」
https://mf-migration.morisawa.co.jp/hc/ja/articles/8918347354905-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B-
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先月、Adobe Fontsにて数日に渡りフォントが利用できなくなる障害が発生した。
趣味でフォントを使っている人ならまだしも、仕事でフォントを使っている人たちにとっては致命的といえるトラブルだ。
実際、SNSにもそういった投稿が上がっていた。
今回はAdobe Fontsもそうだが、近年主流になりつつある新しいフォントサービスについて、思うことを書いてみようと思う。
まずAdobe Fontsについてよく知らない人のために軽く説明すると、これはAdobe Creative Cloudを契約し、IllustratorやPhotoshopなどのアプリを利用している人が利用できるフォントサービスだ。
自分で購入したフォントをインストーラなどを利用して、もしくはフォントファイルを直接PCのフォントフォルダにドラッグ&ドロップするなどしてインストールする従来のフォントの使い方と異なり、Adobe Fontsを利用する時はWebサイトから自分のアカウントにログインして利用したいフォントのスイッチをONに(アクティベート)することで、フォントが自分のPCに「配信」され、利用できるシステムになっている。
しかしこれにはネットワーク環境が必須なので、ネットワークに何らかのトラブルが起きれば当然利用できなくなる…。
自宅や会社のネットワークであれば自分たちでどうにかすれば良いことだが、Adobe Fonts側の問題でフォントが使えないとなれば、ユーザーは為す術が無い。
2023年の今ではAdobe Fontsに限らず、フォントワークスの「LETS」やモリサワの「Morisawa Fonts」も、Adobe Fontsと同じようにWebサイトから利用したいフォントをアクティベートすることでフォントが利用できるシステムを採用している。
このようなフォント配信システムでは、ユーザーがアクティベートしたフォントファイルの存在を確認できない状態で配信されるため、フォントの不正コピーを防ぐことができると考えられる。
加えて、従来ならばフォントをインストールしたPCが故障した際、バックアップを取っていなければそのフォントを救出できなかったり、シリアルキーを入力・認証してインストールするシステムであればPCが故障した時にそのことをフォントベンダーに報告してシリアルキーを再度使える状態にしてもらえないと新しいPCでフォントが再インストールできなかったりする不便さがあったが、Webからの配信システムなら、ログインして自分のアカウントにアクセスするだけで、どのPCでフォントを使うかの割り当てや解除が簡単にできる。
以上のようなメリットがある一方、今回Adobe Fontsで障害が発生したことからわかるように、安定性の面で不安があるのは間違いない。
僕もAdobe Fontsを利用していた時に、アクティベートしたはずのフォントがなぜか自分が使っているアプリのフォントリストに反映されず困ったことがある。
また、LETSやMorisawa Fontsでも、専用のアプリで同期エラーが度々発生し、突然フォントが使えなくなることもあった。
これらはアクティベートやログインをやり直すことですぐに改善したものの、従来のネットワーク環境を必要としないフォントサービスと比べるとどう考えても不安定だし、仕事でフォントを使っている人は困ることもあるんじゃないだろうか、と思っていた矢先にAdobe Fontsの障害が発生した。
ちなみにMorisawa Fontsでは、ユーザー側、もしくはサービス側に何らかのトラブルが発生した時のことを想定してか、ネットワーク接続がOFFになっても10日間はオフラインで使える救済措置(?)を用意しており、またネットワークが一切利用できないユーザーへのフォント提供方法も検討中とのこと。
これにどこまで期待して良いのかはわからないけどね…。
しかしAdobe FontsはIllustratorやPhotoshopなど、Adobeのアプリに付随するサービスに過ぎないし、今回障害が発生したからってサービスの利便性・安定性が改善されることは、あまり期待できないと個人的には思う。
ネットワークでフォントを「配信」して提供する新しいフォントサービスは、これからもっとメジャーなものになっていくだろうし、ユーザーがどんなに不満を唱えても二度と従来の(オフライン環境でも安心して使える)フォントサービスに戻ることは無いだろう。
フォントベンダーは新しいフォントの提供方法について、いろいろとメリットばかりをピックアップして宣伝しているけど、長く使っているユーザーがこれからも安心して使い続けられるよう、サービスを改善してもらいたいね。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(2023.9.16閲覧)
●インターネットに接続していない環境ではどうなりますか?(Morisawa Fonts 移行サポートサイト)
「一時的であれば、10日間はオフラインでも使用可能です。」
「完全にインターネット接続が不可能なお客様につきましては、別途ご提供方法を検討中ですので、続報をお待ちください。」
https://mf-migration.morisawa.co.jp/hc/ja/articles/8918347354905-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B-
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