#63 ダイナフォントの黒歴史? 細丸ゴシック体 2023/03/10
ダイナコムウェアが販売している「細丸ゴシック体」「中丸ゴシック体」「中太丸ゴシック体」という3つの丸ゴシック体フォント。
具体的なリリース時期は不明だが、90年代後半に発売された初期のダイナフォントのパッケージ製品には既に収録されており、現在ではダイナコムウェアが販売している「DynaSmart」シリーズに収録されている。今回は、これら3つのフォント「細丸・中丸・中太丸ゴシック体」について思うことを話そうと思う。(以下、これらのフォントを総称して「細丸ゴシック体」と呼ぶ。)
まず細丸ゴシック体とは、こんなフォント↓冒頭で述べたように、「細丸」「中丸」「中太丸」の3つのウェイト(太さ)で展開されている。おそらく、写研の「ナール」を何となく意識して作ったんだと思う。しかしナールの完成度とは程遠く、文字を構成する曲線の扱いが雑だし不自然だし、文字を並べた時のバランスもお世辞にも良いとは言えない。一文字一文字の自己主張が強く、とにかく「やかましい」印象しかないんだよね。どんなに個性(クセ)の強いフォントでも、ほとんどのフォントは文字を並べた時にバラバラの文字が1つになる(=調和する)ようにできているんだけど、細丸ゴシック体は、どんなフレーズを打ち込んでも隣り合う文字同士がまるで調和しない…。しかし、ダイナコムウェアのフォント紹介ページでは「細丸ゴシック体は、本文に使用する際にはバランスが良く、識別性の高い仕上がりを実現します。また、広告やちらし、マニュアル、レポート及び内部資料など、上品且つ的確に文字情報を伝達することができます」と紹介されているが、後付けかな…。まともなデザイナーであれば、広告やチラシなどでこんなフォントは絶対チョイスしないと思う。読むのに疲れて情報が頭に入ってきづらいし、事務的な書類の作成や自治会のイベント案内のポスターなど、プライベートな用途にもあまり使ってほしくない…。特に「ダイナコムウェア」など、カタカナを並べてタイプすると、ひらがな以上に残念感が強くなる↓
僕が高校生の頃に初めて手にした有料フォントがダイナフォントだったんだけど、良いフォントを見る目なんて無かった当時でさえも、「この丸ゴシック体はちょっと…」と思った記憶がある。今でも僕はダイナフォント大好き人間(笑)だが、細丸ゴシック体のような基本書体だけはとても評価できない。どんな用途でフォントを使うにしても、ゴシック体や明朝体、そして丸ゴシック体のような基本書体が揃っていないと何もできないと思うんだけど、どうしてそんな大事なフォントの開発に力を入れず、こんな低品質のフォントを作ってしまったのだろうね?細丸ゴシック体を開発した人たちに会うことができるなら、ぜひともその辺の詳細をお聞きしたい。ゴシックや明朝、丸ゴシックなどの基本書体って、フォントをどういう用途で使う場合でも絶対に必要になるものだし、丁寧に作ってほしかったな。好みもあると思うが、今回紹介した「細丸ゴシック体」だけは、良いと思う人はかなり少ないんじゃないかなと思う…。
それだけに今、「金剛黒体」など基本書体の開発に力を入れているのが嬉しくて仕方ないんだけどね。2023年の新書体として、「金剛明朝体」のリリースも控えているんだとか…!今まで「細丸ゴシック体」への悪い評判は何度も見たことあるし、ぜひとも金剛黒体の骨格を活かした丸ゴシックを完成させて黒歴史を塗り替えてくれたらな、などと勝手に願っている。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2023.2.12閲覧)●丸ゴシック体(DynaFont一覧)好きな文字列で今回紹介したフォントを試せます。(「フォントシミュレーション」の枠内に入力)https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=3260●ナール M(写研アーカイブ)「ナール」の組見本を見ることができます。画面上部の「他のウェイトを見る」から違うウェイトに切り替えもできます。https://archive.sha-ken.co.jp/typeface/174-0-MNAR/●ダイナフォント2023年新書体「金剛明朝体」https://www.dynacw.co.jp/news/news_detail.aspx?s=1003●『ダイナフォント総合カタログ』(2022年11月版)同カタログのPDF版をダウンロードできます。https://www.dynacw.co.jp/support/support_download_list.aspx?sid=39
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ダイナコムウェアが販売している「細丸ゴシック体」「中丸ゴシック体」「中太丸ゴシック体」という3つの丸ゴシック体フォント。
具体的なリリース時期は不明だが、90年代後半に発売された初期のダイナフォントのパッケージ製品には既に収録されており、現在ではダイナコムウェアが販売している「DynaSmart」シリーズに収録されている。
今回は、これら3つのフォント「細丸・中丸・中太丸ゴシック体」について思うことを話そうと思う。
(以下、これらのフォントを総称して「細丸ゴシック体」と呼ぶ。)
まず細丸ゴシック体とは、こんなフォント↓
冒頭で述べたように、「細丸」「中丸」「中太丸」の3つのウェイト(太さ)で展開されている。
おそらく、写研の「ナール」を何となく意識して作ったんだと思う。
しかしナールの完成度とは程遠く、文字を構成する曲線の扱いが雑だし不自然だし、文字を並べた時のバランスもお世辞にも良いとは言えない。
一文字一文字の自己主張が強く、とにかく「やかましい」印象しかないんだよね。
どんなに個性(クセ)の強いフォントでも、ほとんどのフォントは文字を並べた時にバラバラの文字が1つになる(=調和する)ようにできているんだけど、細丸ゴシック体は、どんなフレーズを打ち込んでも隣り合う文字同士がまるで調和しない…。
しかし、ダイナコムウェアのフォント紹介ページでは「細丸ゴシック体は、本文に使用する際にはバランスが良く、識別性の高い仕上がりを実現します。また、広告やちらし、マニュアル、レポート及び内部資料など、上品且つ的確に文字情報を伝達することができます」と紹介されているが、後付けかな…。
まともなデザイナーであれば、広告やチラシなどでこんなフォントは絶対チョイスしないと思う。
読むのに疲れて情報が頭に入ってきづらいし、事務的な書類の作成や自治会のイベント案内のポスターなど、プライベートな用途にもあまり使ってほしくない…。
特に「ダイナコムウェア」など、カタカナを並べてタイプすると、ひらがな以上に残念感が強くなる↓
僕が高校生の頃に初めて手にした有料フォントがダイナフォントだったんだけど、良いフォントを見る目なんて無かった当時でさえも、「この丸ゴシック体はちょっと…」と思った記憶がある。
今でも僕はダイナフォント大好き人間(笑)だが、細丸ゴシック体のような基本書体だけはとても評価できない。
どんな用途でフォントを使うにしても、ゴシック体や明朝体、そして丸ゴシック体のような基本書体が揃っていないと何もできないと思うんだけど、どうしてそんな大事なフォントの開発に力を入れず、こんな低品質のフォントを作ってしまったのだろうね?
細丸ゴシック体を開発した人たちに会うことができるなら、ぜひともその辺の詳細をお聞きしたい。
ゴシックや明朝、丸ゴシックなどの基本書体って、フォントをどういう用途で使う場合でも絶対に必要になるものだし、丁寧に作ってほしかったな。
好みもあると思うが、今回紹介した「細丸ゴシック体」だけは、良いと思う人はかなり少ないんじゃないかなと思う…。
それだけに今、「金剛黒体」など基本書体の開発に力を入れているのが嬉しくて仕方ないんだけどね。
2023年の新書体として、「金剛明朝体」のリリースも控えているんだとか…!
今まで「細丸ゴシック体」への悪い評判は何度も見たことあるし、ぜひとも金剛黒体の骨格を活かした丸ゴシックを完成させて黒歴史を塗り替えてくれたらな、などと勝手に願っている。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2023.2.12閲覧)
●丸ゴシック体(DynaFont一覧)
好きな文字列で今回紹介したフォントを試せます。
(「フォントシミュレーション」の枠内に入力)
https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=3260
●ナール M(写研アーカイブ)
「ナール」の組見本を見ることができます。
画面上部の「他のウェイトを見る」から違うウェイトに切り替えもできます。
https://archive.sha-ken.co.jp/typeface/174-0-MNAR/
●ダイナフォント2023年新書体「金剛明朝体」
https://www.dynacw.co.jp/news/news_detail.aspx?s=1003
●『ダイナフォント総合カタログ』(2022年11月版)
同カタログのPDF版をダウンロードできます。
https://www.dynacw.co.jp/support/support_download_list.aspx?sid=39
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