#60 POP体らしいPOP体 ポルA体 2022/12/10(Sat)
NIS Fontのラインナップに、「ポルA体」というフォントがある。
実際にPOPで採用された実績のある同ブランドのフォントの中でも魅力的なPOP体のひとつだ。2022年最後となる今回は、「ポルA体」について思うことを話そうと思う。
まずポルA体とは、こんなフォント↓マーカーなどで大胆なPOPを作れる職人さんが描いた文字をそのままフォント化したような感じだね。実際、NIS Fontの公式ブログによると、このフォントをデザインしたクリエイターさんは実際に大手デパートのPOPを作っていたことがあり、そのノウハウから「ポルA体」を完成させたそうだ(※1)。大きめにデザインされていて、一文字一文字に存在感が感じられる。丸文字のようなイメージを持ち合わせつつも、「ダサい」「幼稚な」イメージは感じられない。ユルい曲線でデザインされているのに、文字を並べると全くユルいイメージにはならず、安定感・緊張感のある文字組みができる。特に「W9」は頼もしい太さに設計されているので、ゴシック体や明朝体などの標準的なフォントにも負けない強い訴求効果が生めそうだ。
「POP体」と称したフォントは数多くあるが、訴求力が求められるPOPに適したPOP体ってあまり多くないと思うんだよね。デザインのアクセントとして使う分には申し分ないものの、POP作成でメインに使うと、文字が可愛くなりすぎて弱い印象に見えるんじゃないかと思うことが多々ある。地面に足がついていないような感じというか、文字がフワフワと浮いて見える感じ。だけどポルA体は、文字を並べると、文字が「座っている」ように感じられるんだよ。ずっしりと構え、堂々とした印象なので、使い手が伝えたいメッセージにも説得力を持たせてくれる。大ぶりなので文字を並べた時にきれいに見えるし、プロがデザインの仕事をする時に使う高機能なアプリを使えないアマチュアでも、良い文字組みができるんじゃないかな。
ただ、一応太さは2種類用意されているものの、W1は細すぎて使いにくいのが難点かな…。W1とW9だけでなく、W3・W5・W7の計5種類くらいのウェイト(太さ)を作ってファミリー展開して欲しかった。現状のこの2ウェイトだけだと、どうしても用途が絞られてしまうからね。また、これはNIS FontのPOP系フォント全般にいえることだが、収容されている漢字の字数が少ないのが痛い。JIS第二水準やIBM拡張文字を収容したフォントなら大抵入力できる、少し難しい熟語や人名・地名などに使われる漢字が、このフォントでは使えないことがある。2018年時点のNIS Fontのブログには収容文字数を順次増やしていくようなことが書かれているが(※2)、あまり期待はできないと思う…。この頃はブログも更新されておらず、新書体やサービスの追加など新しい発表が何も無いし、やる気が全く見られないからね…。フォントの会社がイイカゲンだと、せっかくのフォントも次第に使われなくなっていくのが悲しいな。
今回紹介したポルA体に限らず、NIS FontのPOP系フォントはどれも完成度が高いと思う。近年、大手のフォントベンダーはPOP体というよりも、アニメやライトノベルのロゴでウケそうなデザインフォントをたくさん発表しているように思うが、クセが強くて読みづらかったり、高機能なアプリを使える人でないと魅力を引き出しにくいフォントも多い。プロのデザイナーの間ではウケるのかもしれないが、一般のユーザーには使いにくいこともあるよね…。その点、NIS Fontは今回紹介したポルA体のように、アマチュアでも気軽に、かつ扱いやすいデザインのフォントが揃っている。バリエーションも多くて使いやすいと思うし、もっと頑張って欲しいと僕は思うな。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。みなさん、良いお年をお迎えください。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2022.11.12閲覧)●ポルA体(デザインポケット)今回紹介したフォントで試し打ちできます(URLは上からW1、W9)。https://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=13999https://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=14000●NIS Fontの文字セットhttps://www.nisfont.co.jp/products/set_items.html●【フォント紹介】ポルA体W9(NIS Fontのブログ)※1:「長年にわたって大手デパートのPOPを手掛けてきた猪股氏の作で、POP作りのノウハウから生まれたPOP書体となっています。」https://www.nisfont.co.jp/blog/2016_09_14/#:~:text=%E3%80%8C%E3%83%9D%E3%83%ABA%E4%BD%93W9%E3%80%8D%E3%81%AF,%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82●JTCナミキ中太楷書、特太楷書がバージョンアップしました(NIS Fontのブログ)※2:「機種依存文字(IBM拡張文字)の追加については、お客様からの要望も多く、他書体でも順次追加していく予定です。」https://www.nisfont.co.jp/blog/2018_01_17/
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NIS Fontのラインナップに、「ポルA体」というフォントがある。
実際にPOPで採用された実績のある同ブランドのフォントの中でも魅力的なPOP体のひとつだ。
2022年最後となる今回は、「ポルA体」について思うことを話そうと思う。
まずポルA体とは、こんなフォント↓
マーカーなどで大胆なPOPを作れる職人さんが描いた文字をそのままフォント化したような感じだね。
実際、NIS Fontの公式ブログによると、このフォントをデザインしたクリエイターさんは実際に大手デパートのPOPを作っていたことがあり、そのノウハウから「ポルA体」を完成させたそうだ(※1)。
大きめにデザインされていて、一文字一文字に存在感が感じられる。
丸文字のようなイメージを持ち合わせつつも、「ダサい」「幼稚な」イメージは感じられない。
ユルい曲線でデザインされているのに、文字を並べると全くユルいイメージにはならず、安定感・緊張感のある文字組みができる。
特に「W9」は頼もしい太さに設計されているので、ゴシック体や明朝体などの標準的なフォントにも負けない強い訴求効果が生めそうだ。
「POP体」と称したフォントは数多くあるが、訴求力が求められるPOPに適したPOP体ってあまり多くないと思うんだよね。
デザインのアクセントとして使う分には申し分ないものの、POP作成でメインに使うと、文字が可愛くなりすぎて弱い印象に見えるんじゃないかと思うことが多々ある。
地面に足がついていないような感じというか、文字がフワフワと浮いて見える感じ。
だけどポルA体は、文字を並べると、文字が「座っている」ように感じられるんだよ。
ずっしりと構え、堂々とした印象なので、使い手が伝えたいメッセージにも説得力を持たせてくれる。
大ぶりなので文字を並べた時にきれいに見えるし、プロがデザインの仕事をする時に使う高機能なアプリを使えないアマチュアでも、良い文字組みができるんじゃないかな。
ただ、一応太さは2種類用意されているものの、W1は細すぎて使いにくいのが難点かな…。
W1とW9だけでなく、W3・W5・W7の計5種類くらいのウェイト(太さ)を作ってファミリー展開して欲しかった。
現状のこの2ウェイトだけだと、どうしても用途が絞られてしまうからね。
また、これはNIS FontのPOP系フォント全般にいえることだが、収容されている漢字の字数が少ないのが痛い。
JIS第二水準やIBM拡張文字を収容したフォントなら大抵入力できる、少し難しい熟語や人名・地名などに使われる漢字が、このフォントでは使えないことがある。
2018年時点のNIS Fontのブログには収容文字数を順次増やしていくようなことが書かれているが(※2)、あまり期待はできないと思う…。
この頃はブログも更新されておらず、新書体やサービスの追加など新しい発表が何も無いし、やる気が全く見られないからね…。
フォントの会社がイイカゲンだと、せっかくのフォントも次第に使われなくなっていくのが悲しいな。
今回紹介したポルA体に限らず、NIS FontのPOP系フォントはどれも完成度が高いと思う。
近年、大手のフォントベンダーはPOP体というよりも、アニメやライトノベルのロゴでウケそうなデザインフォントをたくさん発表しているように思うが、クセが強くて読みづらかったり、高機能なアプリを使える人でないと魅力を引き出しにくいフォントも多い。
プロのデザイナーの間ではウケるのかもしれないが、一般のユーザーには使いにくいこともあるよね…。
その点、NIS Fontは今回紹介したポルA体のように、アマチュアでも気軽に、かつ扱いやすいデザインのフォントが揃っている。
バリエーションも多くて使いやすいと思うし、もっと頑張って欲しいと僕は思うな。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。
みなさん、良いお年をお迎えください。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2022.11.12閲覧)
●ポルA体(デザインポケット)
今回紹介したフォントで試し打ちできます(URLは上からW1、W9)。
https://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=13999
https://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=14000
●NIS Fontの文字セット
https://www.nisfont.co.jp/products/set_items.html
●【フォント紹介】ポルA体W9(NIS Fontのブログ)
※1:「長年にわたって大手デパートのPOPを手掛けてきた猪股氏の作で、POP作りのノウハウから生まれたPOP書体となっています。」
https://www.nisfont.co.jp/blog/2016_09_14/#:~:text=%E3%80%8C%E3%83%9D%E3%83%ABA%E4%BD%93W9%E3%80%8D%E3%81%AF,%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
●JTCナミキ中太楷書、特太楷書がバージョンアップしました(NIS Fontのブログ)
※2:「機種依存文字(IBM拡張文字)の追加については、お客様からの要望も多く、他書体でも順次追加していく予定です。」
https://www.nisfont.co.jp/blog/2018_01_17/
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