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#58 心豊かなデザイン隷書体「豊隷」
2022/10/10 00:00
フォントワークスが販売している「豊隷」(ほうれい)というフォント。
同社の製品リリースノートによると、2002年の新書体として発表されたらしい。
「フォントワークスLETS」のラインナップに含まれているので、契約者なら誰でも利用できる。
リリースからちょうど20年……だからというわけではないが、今回は「豊隷」というフォントについて話そうと思う。

まず豊隷とは、こんなフォント↓
FWHohrei.jpg
フォントワークスの書体見本ページでは、「隷書体の特長のひとつの平体率をなくし、全体に丸味をおびた、ふくよかで、落ちつきのある風情が、和の雰囲気はもちろん、変幻自在にイメージを創造します」と紹介されている。
上の画像に掲載したように、この豊隷をデザインした作家さんは「角隷」というフォントも発表しているが、こちらは文字通りカクカクと鋭い印象が目立ち、かつ平体がかかって(文字のデザインが平べったくなって)いるので良くも悪くもあまり主張は強くないイメージだ。
しかし豊隷は、平べったさが控えめになったことで重厚感、緊張感が感じられる作りになっている。
また角隷は「伝統」「風情」「実直」などの言葉が持っている、古臭く堅苦しくとっつきにくいイメージが強いように思うが、豊隷は少し丸味のある、ふっくらとしたデザインだ。
これにより、「優しさ」「温もり」「懐かしさ」など、我々人間が人を通してでないと得られない、明るくポジティブなイメージが程良く強調されている。
いつの時代を生きる人にも親しみやすく、とっつきやすいイメージがよく表現できていると思う。
ただの隷書体ではなく、「隷書体のデザインフォント」という位置付けが個人的にはしっくりくるかも。

僕が「豊隷」を知ったきっかけは、10年以上前にとある教養バラエティ番組のテロップで使われていたのを見た時だ。
その頃はこのフォントのことを全く知らず、調べてみた時に偶然知ったのだ。
それまで隷書体は、とにかく古臭く、平べったいデザインのため扱いにくいイメージばかりが僕の中にはあったのだが、「こんな“イマ風”のイメージを持つ隷書体がこの世にあったのか!」と、今思えば大げさだが当時は素直にそう思った(笑)。
漫画を読んでいる時にも、フキダシの文字で「豊隷」が使われているのを見ることがあるのだが、意外とコミカルなセリフにこのフォントが指定されていることが多く、今でも見る度に驚く。

「角隷」「豊隷」に限らず、隷書体と呼ばれるフォントはいろんなフォントベンダーがリリースしている。
「和の趣」「風情」「情緒」など、明朝体や楷書体・行書体などの毛筆フォントでは表現できない、隷書体だからこそ表現できる味わいがあると思う。
一方、隷書体ならではの「古臭さ」が拭えないフォントもたくさんあるし、全体的にウェイト(太さ)が細めのものが多いのも扱いにくい理由のひとつだ。
しかし今回紹介した「豊隷」は、角隷よりも程々に文字に丸味が加えられていることにより、「古臭い」印象が柔らかくなって、「懐かしさ」「古き良き時代の優しさ」のような前向きなイメージに加え、「新しい」「いつもどこかで見ている・聴いている・感じている」、そんな真反対に思えるイメージが同時に感じられるのだ。
短い言葉で言い表すなら「古いけどどこか新しい」イメージなのだが、このフォントが持つそのイメージは「古い=大正・昭和」「新しい=平成・令和」のように時代を明確に限定する意味合いではない。
これからずっと先の時代、逆に我々が誕生するよりずっと昔を生きてきた人も含め、人間である限りいつの時代を生きる人も同じように感じる「古い故の良さ」「新しい故の良さ」なんじゃないかなと思った。
フォントの名前も、文字が全体的にふっくらと、丸味を帯びたイメージから「豊」という文字が含められたんだと思うけど、僕は「優しさ」であったり、「伝統」「風情」など格式張ったイメージがあるものを含め、すべては人の心の「豊かさ」あって生まれるもの、そんな意味合いがどこかに込められてるんじゃないかなと感じた。
世の中の誰もがピリピリしている状況……でもそんな時こそ、まずは自分や身近な人を大切にして、「心の豊かさ」を持てるよう自分自身で考え方を変えていくことが大切だ。
心がある程度豊かになれば、前よりいろんなものが見えるようになってきて、重たい荷物もちょっとだけ軽くなり、前を向いて生きられるようになる。
そういった奥深いメッセージを届けてくれる力のあるフォントだと思ったので、今回は「豊隷」を取り上げてみました。

それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!

【参考にしたサイト】(いずれも2022.9.14閲覧)
●豊隷 EB(フォントワークス 書体見本)
↓今回紹介したフォントを使って試し打ちができます。
https://fontworks.co.jp/fontsearch/houreistd-eb/
●製品リリースノート(フォントワークス)
https://fontworks.co.jp/company/releasenote/
●書体デザイナー(フォントワークス)
https://fontworks.co.jp/company/designer/

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