#55 夏にぴったり? 背高のっぽの「とんぼ」 2022/07/10
FONT1000からリリースされているフォント「とんぼ」。
「MOJIパス」のラインナップに含まれている他、現在ではAdobe Fontsでも利用できるようになった。夏ということで、今回は「とんぼ」というフォントについて思うことを話そうと思う。
まず「とんぼ」とは、こんなフォント↓漢字は1:1の正方形の中にきっちりデザインされているが、かな文字はまさしくトンボの体のように細長く、文字を組むと背が高く見える。どの文字も、1つの文字だけを見ると少々間の抜けたデザインだが、伝えたい言葉を数文字並べてみると綺麗にシマる感じかな。この手のデザインフォントの中には、デザインがユニークでも読み手が読もうと意識しないと読みづらい、あるいは「読めない」フォントもたくさんある。しかしこの「とんぼ」は、読み手が読もうと意識しなくても、メッセージが目でなく頭にダイレクトに飛び込んでくる感じ。文字を構成する直線と曲線が絶妙な匙加減で使い分けられていて、文字を並べた時のバランス調整にも力を入れているのがよくわかる。人の心を揺さぶるような大それたメッセージを伝えるのには向かないかもしれないが、みんなが立ち止まらずせわしなく歩き続ける街中で、ちょこっと人の足を止めて振り向かせる力はあるフォントだと思う。10文字前後の短めのフレーズにこのフォントを指定するのが効果的かな。文字によって字幅が異なるので、そのまま文字を並べて使うのではなく、それぞれの文字と文字の字間を調整して使ってやると、さらにフォントの良さが引き立ちそうだ。
Adobe Fontsに「とんぼ」が追加されてから、印刷物やWebの広告、映像のテロップなど、いろんなところで使用例が見られるようになった。この頃はAdobe Fontsに多くのフォントベンダーや個人のクリエイターが参画するようになって、プロ用の高品質なフォントをより誰もが手にしやすくなったように思う。そうしてみんなが気軽に使えるような体制が整ったことで、プロ・アマ問わずいろんな人のアイデア(フォントの使用例)が見られるようになり、僕も勉強させてもらうことが多々ある。
ただ非常に残念なのは、フォントに収容されている漢字の数が非常に少ないということだ。しかも収容されている文字セットは「FONT1000選定字種」という独自のものだから、どの漢字が収容されているか非常にわかりにくい。FONT1000の公式ページに「収録字種一覧」の記載はあるものの、使う度にユーザーがいちいちそれを確認するのは大変だからね。これは今回紹介した「とんぼ」に限らず、FONT1000のフォントすべてに共通して言えることであり、同プロジェクトのコンセプトによるものだから仕方ないのだが、「この漢字を使いたい!」と思って入力してみたら使えないことがあり、ガッカリすることが度々ある…。
ただこの「とんぼ」に関しては、作者いわくモリサワの「新ゴシックBold」(新ゴ B)に文字の太さが合うように作られているらしいので、「新ゴ B」を持っていれば、不足文字を補うことができる。不足文字が出てくる度にフォントの指定をするのが面倒なら、IllustratorやInDesignなどのアプリの「合成フォント」機能で漢字部分に「新ゴ B」を指定してしまうのも良いだろう。「新ゴ B」以外の他のフォントでもマッチするフォントがあるかもしれないので、合成フォント機能が使えるアプリを持っている人は、下記画像のようにいろいろな組み合わせを試して遊んでみるのもアリかもね。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】●AB Tombo Bold(Adobe Fonts)今回紹介したフォント「とんぼ」で試し打ちができます。https://fonts.adobe.com/fonts/ab-tombo-bold●MOJIパス今回紹介した「とんぼ」を含む多くのフォントがサブスク形式で利用可能。利用期限が短く価格も安い「定額ミニ」もあり。https://www.font.jpn.com/products/list_1000.php?kind=4●F1-とんぼB(MOJI)作者紹介の欄に『「とんぼ」は素朴な感じで新ゴシックBoldに(中略)ウェイトをあわせてあります』と記述あり。https://www.font.jpn.com/products/detail.php?product_id=9●FONT1000画面左の「収録字種一覧」から、今回紹介した「とんぼ」に含まれている文字を確認可能。http://www.font1000.com/
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FONT1000からリリースされているフォント「とんぼ」。
「MOJIパス」のラインナップに含まれている他、現在ではAdobe Fontsでも利
用できるようになった。
夏ということで、今回は「とんぼ」というフォントについて思うことを話そ
うと思う。
まず「とんぼ」とは、こんなフォント↓
漢字は1:1の正方形の中にきっちりデザインされているが、かな文字はまさし
くトンボの体のように細長く、文字を組むと背が高く見える。
どの文字も、1つの文字だけを見ると少々間の抜けたデザインだが、伝えたい
言葉を数文字並べてみると綺麗にシマる感じかな。
この手のデザインフォントの中には、デザインがユニークでも読み手が読も
うと意識しないと読みづらい、あるいは「読めない」フォントもたくさんあ
る。
しかしこの「とんぼ」は、読み手が読もうと意識しなくても、メッセージが
目でなく頭にダイレクトに飛び込んでくる感じ。
文字を構成する直線と曲線が絶妙な匙加減で使い分けられていて、文字を並
べた時のバランス調整にも力を入れているのがよくわかる。
人の心を揺さぶるような大それたメッセージを伝えるのには向かないかもし
れないが、みんなが立ち止まらずせわしなく歩き続ける街中で、ちょこっと
人の足を止めて振り向かせる力はあるフォントだと思う。
10文字前後の短めのフレーズにこのフォントを指定するのが効果的かな。
文字によって字幅が異なるので、そのまま文字を並べて使うのではなく、そ
れぞれの文字と文字の字間を調整して使ってやると、さらにフォントの良さ
が引き立ちそうだ。
Adobe Fontsに「とんぼ」が追加されてから、印刷物やWebの広告、映像のテ
ロップなど、いろんなところで使用例が見られるようになった。
この頃はAdobe Fontsに多くのフォントベンダーや個人のクリエイターが参画
するようになって、プロ用の高品質なフォントをより誰もが手にしやすくな
ったように思う。
そうしてみんなが気軽に使えるような体制が整ったことで、プロ・アマ問わ
ずいろんな人のアイデア(フォントの使用例)が見られるようになり、僕も
勉強させてもらうことが多々ある。
ただ非常に残念なのは、フォントに収容されている漢字の数が非常に少ない
ということだ。
しかも収容されている文字セットは「FONT1000選定字種」という独自のもの
だから、どの漢字が収容されているか非常にわかりにくい。
FONT1000の公式ページに「収録字種一覧」の記載はあるものの、使う度にユ
ーザーがいちいちそれを確認するのは大変だからね。
これは今回紹介した「とんぼ」に限らず、FONT1000のフォントすべてに共通
して言えることであり、同プロジェクトのコンセプトによるものだから仕方
ないのだが、「この漢字を使いたい!」と思って入力してみたら使えないこ
とがあり、ガッカリすることが度々ある…。
ただこの「とんぼ」に関しては、作者いわくモリサワの「新ゴシックBold」
(新ゴ B)に文字の太さが合うように作られているらしいので、「新ゴ B」
を持っていれば、不足文字を補うことができる。
不足文字が出てくる度にフォントの指定をするのが面倒なら、Illustratorや
InDesignなどのアプリの「合成フォント」機能で漢字部分に「新ゴ B」を指
定してしまうのも良いだろう。
「新ゴ B」以外の他のフォントでもマッチするフォントがあるかもしれない
ので、合成フォント機能が使えるアプリを持っている人は、下記画像のよう
にいろいろな組み合わせを試して遊んでみるのもアリかもね。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシ
ク!!
【参考にしたサイト】
●AB Tombo Bold(Adobe Fonts)
今回紹介したフォント「とんぼ」で試し打ちができます。
https://fonts.adobe.com/fonts/ab-tombo-bold
●MOJIパス
今回紹介した「とんぼ」を含む多くのフォントがサブスク形式で利用可能。
利用期限が短く価格も安い「定額ミニ」もあり。
https://www.font.jpn.com/products/list_1000.php?kind=4
●F1-とんぼB(MOJI)
作者紹介の欄に『「とんぼ」は素朴な感じで新ゴシックBoldに(中略)ウェ
イトをあわせてあります』と記述あり。
https://www.font.jpn.com/products/detail.php?product_id=9
●FONT1000
画面左の「収録字種一覧」から、今回紹介した「とんぼ」に含まれている文
字を確認可能。
http://www.font1000.com/
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