#53 Adobe Fontsに意外なフォントが仲間入り? 2022/05/10(Tue)
最近Adobe Fontsで利用できるようになった、「TA-角ゴGF」「TA-丸ゴGF」というフォント。Adobe Creative Cloudの有料プランを契約している人は、誰でも利用できる。これらのフォントはパッケージ販売もされているが、Adobe Fontsに追加されたと知った時には非常に驚いた。今回は、そんな「TA角ゴ」「TA丸ゴ」の話をしようと思う。
まず「TA角ゴ」「TA丸ゴ」とは、こんなフォント↓TA角ゴはウェイト(太さ)が5種類、TA丸ゴは3種類ある。フォントにある程度詳しい人ならすぐにピンとくるかもしれないが、写研の「ゴナ」や「ナール」を模倣したようなフォントだ。だけどゴナやナールと比べて完成度は明らかに低い。かな文字も漢字も、曲線は見るからにガタガタしているし、同一のウェイトでも文字の太さがバラバラに見えるし、画数の多い漢字はツブれてしまっている…。どうやって作られたのかまったく判らないが、少なくともゼロからちゃんと作ったわけではなく、スキャンなりトレースなりして、細かい調整などは施さずにフォント化したのかな…。なぜか「祇」「飴」「鯖」など、ウェイトによって漢字の字形も異なっているし…。はっきり言って、これらのフォントに関して評価できる点は何ひとつ無い。
この「TA角ゴ」「TA丸ゴ」はAdobe Fontsで提供されるよりもずっと前から、いろんなフォントパックに収録され販売されていた。うろ覚えだけど、確かダウンロード購入もできたんじゃないかな…。僕もこれらのフォントが収録されたフォントパックを興味半分で手にしたことがあり、購入して使ってみたら想像していた以上に品質が悪く心底後悔した。先述したように、Windowsにインストールして文字を打ち込んでみたら輪郭がガタガタだったので、まずWin上でのフォントの描画が汚いせいじゃないかと思い印刷を試みたくらいだ(笑)。
そんなフォントパックがマニアしか見つけられないようなネットの辺境で販売されているだけだったらまだしも、どうしてAdobe Fontsに追加されたのだろう…。普通に考えれば、Adobe Fontsに追加する前に、ライセンスだけじゃなくデザインも問題無いかどうか、誰かが何らかの形でチェックするはず…だよね?ここ数年、Adobe Fontsで利用できる日本語フォントの数がどんどん拡充されて便利になってはいるけど、こんなフォントまで追加されたら悪質な数の嵩増しとしか思えなくなる。ナールやゴナの権利を保有する人や会社が、これらのフォントを作った人たちなり会社なり、あるいはAdobe Fontsなりを訴えてもおかしくない(文句を言えない)レベルだと思うが…。こんなフォントでも、ユーザーはAdobe Fontsの正式な利用規約のもとで利用できるわけだし、フォントを提供した人たちにはロイヤリティが支払われるわけだからね。
明らかにあの(既存の)フォントを意識してるよね?と思うフォントはいろんなフォントベンダーやクリエイターがリリースしているし、今までに数え切れないくらい見てきた。だがそれらのフォントのほとんどは、既存のフォントを意識しつつもクリエイターのオリジナリティがデザインに組み込まれていたり、既存のフォントと比べると完成度は低くても一応ゼロからデザインされたのは判るようなデザインだ。完成度は低いなりにある程度フォントとして使いやすいように配慮されていたりね。しかし今回紹介した「TA角ゴ」「TA丸ゴ」は誰がどう見ても使い物にならない程の低クオリティだし、本当にどうしてAdobe Fontsの仲間入りを果たせたのだろう…。Adobe Fontsの担当者とかが目の前にいたら、詳細なお話を伺いたいくらいだ。ビジネスが絡んでいたのかなと最初は思ったけど、単純にフォントを見る目などこれっぽっちも無いような人がGOサインを出してしまったのかも…と思うことで納得するとしようか…。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2022.4.16閲覧)●TA-角ゴGF(Adobe Fonts)↓好きな文字を打ち込んでフォントを試せます。https://fonts.adobe.com/fonts/ta-kakugo-gf●TA-丸ゴGF(Adobe Fonts)↓好きな文字を打ち込んでフォントを試せます。https://fonts.adobe.com/fonts/ta-marugo-gf●ゴナ E(写研アーカイブ)↓「ゴナ」の書体見本が見られます(ウェイト切替も可)。https://archive.sha-ken.co.jp/typeface/126-0-ENAG/●ナール E(写研アーカイブ)↓「ナール」の書体見本が見られます(ウェイト切替も可)。https://archive.sha-ken.co.jp/typeface/180-0-ENAR/●フォントのライセンス(Adobe Fonts)https://helpx.adobe.com/jp/fonts/using/font-licensing.html
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最近Adobe Fontsで利用できるようになった、「TA-角ゴGF」「TA-丸ゴGF」というフォント。
Adobe Creative Cloudの有料プランを契約している人は、誰でも利用できる。
これらのフォントはパッケージ販売もされているが、Adobe Fontsに追加されたと知った時には非常に驚いた。
今回は、そんな「TA角ゴ」「TA丸ゴ」の話をしようと思う。
まず「TA角ゴ」「TA丸ゴ」とは、こんなフォント↓
TA角ゴはウェイト(太さ)が5種類、TA丸ゴは3種類ある。
フォントにある程度詳しい人ならすぐにピンとくるかもしれないが、写研の「ゴナ」や「ナール」を模倣したようなフォントだ。
だけどゴナやナールと比べて完成度は明らかに低い。
かな文字も漢字も、曲線は見るからにガタガタしているし、同一のウェイトでも文字の太さがバラバラに見えるし、画数の多い漢字はツブれてしまっている…。
どうやって作られたのかまったく判らないが、少なくともゼロからちゃんと作ったわけではなく、スキャンなりトレースなりして、細かい調整などは施さずにフォント化したのかな…。
なぜか「祇」「飴」「鯖」など、ウェイトによって漢字の字形も異なっているし…。
はっきり言って、これらのフォントに関して評価できる点は何ひとつ無い。
この「TA角ゴ」「TA丸ゴ」はAdobe Fontsで提供されるよりもずっと前から、いろんなフォントパックに収録され販売されていた。
うろ覚えだけど、確かダウンロード購入もできたんじゃないかな…。
僕もこれらのフォントが収録されたフォントパックを興味半分で手にしたことがあり、購入して使ってみたら想像していた以上に品質が悪く心底後悔した。
先述したように、Windowsにインストールして文字を打ち込んでみたら輪郭がガタガタだったので、まずWin上でのフォントの描画が汚いせいじゃないかと思い印刷を試みたくらいだ(笑)。
そんなフォントパックがマニアしか見つけられないようなネットの辺境で販売されているだけだったらまだしも、どうしてAdobe Fontsに追加されたのだろう…。
普通に考えれば、Adobe Fontsに追加する前に、ライセンスだけじゃなくデザインも問題無いかどうか、誰かが何らかの形でチェックするはず…だよね?
ここ数年、Adobe Fontsで利用できる日本語フォントの数がどんどん拡充されて便利になってはいるけど、こんなフォントまで追加されたら悪質な数の嵩増しとしか思えなくなる。
ナールやゴナの権利を保有する人や会社が、これらのフォントを作った人たちなり会社なり、あるいはAdobe Fontsなりを訴えてもおかしくない(文句を言えない)レベルだと思うが…。
こんなフォントでも、ユーザーはAdobe Fontsの正式な利用規約のもとで利用できるわけだし、フォントを提供した人たちにはロイヤリティが支払われるわけだからね。
明らかにあの(既存の)フォントを意識してるよね?と思うフォントはいろんなフォントベンダーやクリエイターがリリースしているし、今までに数え切れないくらい見てきた。
だがそれらのフォントのほとんどは、既存のフォントを意識しつつもクリエイターのオリジナリティがデザインに組み込まれていたり、既存のフォントと比べると完成度は低くても一応ゼロからデザインされたのは判るようなデザインだ。
完成度は低いなりにある程度フォントとして使いやすいように配慮されていたりね。
しかし今回紹介した「TA角ゴ」「TA丸ゴ」は誰がどう見ても使い物にならない程の低クオリティだし、本当にどうしてAdobe Fontsの仲間入りを果たせたのだろう…。
Adobe Fontsの担当者とかが目の前にいたら、詳細なお話を伺いたいくらいだ。
ビジネスが絡んでいたのかなと最初は思ったけど、単純にフォントを見る目などこれっぽっちも無いような人がGOサインを出してしまったのかも…と思うことで納得するとしようか…。
それでは、また次回の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2022.4.16閲覧)
●TA-角ゴGF(Adobe Fonts)
↓好きな文字を打ち込んでフォントを試せます。
https://fonts.adobe.com/fonts/ta-kakugo-gf
●TA-丸ゴGF(Adobe Fonts)
↓好きな文字を打ち込んでフォントを試せます。
https://fonts.adobe.com/fonts/ta-marugo-gf
●ゴナ E(写研アーカイブ)
↓「ゴナ」の書体見本が見られます(ウェイト切替も可)。
https://archive.sha-ken.co.jp/typeface/126-0-ENAG/
●ナール E(写研アーカイブ)
↓「ナール」の書体見本が見られます(ウェイト切替も可)。
https://archive.sha-ken.co.jp/typeface/180-0-ENAR/
●フォントのライセンス(Adobe Fonts)
https://helpx.adobe.com/jp/fonts/using/font-licensing.html
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