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#47 Google Fonts 充実化のウラは…?
2021/11/10 00:00
PCにインストールして使う通常のフォントとしても、Webフォントとしても使えるオープンソースフォントが揃ったGoogle Fonts。
長らく和文フォントの数が少なかったが、この頃急激に増え出した。
あまりフォントに興味が無い人であれば、フォントのサブスクを契約したり、単体やパッケージでフォントを買わなくても、ここで提供されているフォントだけで完結できちゃうんじゃないか、ってくらいに…。
今回は、そんな現在のGoogle Fontsについて、思うことを話したいと思う。

もともとGoogle Fontsには、欧文フォントなど日本語以外のフォントはあまり網羅されておらず、「源ノ角ゴシック」「源ノ明朝」など、ごく一部のオープンソースの和文フォントのみが提供されていた。
ここで提供されているフォントの多くは「SILオープンフォントライセンス」が適用されてているので、このライセンスに従い、かつ再配布するフォントにも同じライセンスを引き継ぐことなど一定の条件を守れば、派生フォントを自由に作って配布することもできる。
そのため、Google Fontsで「源ノ角ゴシック」「源ノ明朝」などのオープンソースフォントが提供され始めて以降、これらのフォントをベースにした派生フォントが多く登場した。
しかし、Google Fontsで提供されている和文フォントの数は長らく増えることがなく、ここ最近急に増え始めた。
それもアマチュアのクリエイターが自身のサイトで無料配布しているフリーフォントであれば判るのだが、この頃はプロ用の高品質なフォントを制作・販売している一部のフォントベンダーまでもがGoogle Fontsに参加するようになった。
フォントワークスが「レゲエ」「ロックンロール」などのフォントを提供したほか、モリサワに「武蔵野」や「解ミン」などのフォントをライセンスしているFont-Kai、またエイワンも、フォント事業終了の発表と同時にGoogle Fontsに自社フォントを提供した旨を発表した。
これだけ高品質なフォントがGoogle Fontsに集結した今なら、さほどフォントにこだわりが無い人であれば、Google Fontsにあるフォントだけで成果物のデザインを完成させられるかもしれない。
フォントを提供している人たちにとっても、自分のサイトで配布するよりかは注目してもらえるだろうし。

ただ何が不思議かって、会社やクリエイターが決めているフォントの使用条件と関係なく、Google Fonts版のフォントでは「SILオープンフォントライセンス」が適用されるのに、なぜフォントワークスやFont-Kai、エイワンなどのフォントベンダーが揃いも揃ってここにフォントを提供してしまったのか、ということだ。
クリエイターが長い時間をかけて作った高品質なフォントも、Google Fontsに提供してしまったら、当然このライセンスが適用されることになる。
仮にだが、フォント提供後にGoogle と何か揉め事があって嫌になったからと、クリエイターがGoogle Fontsでの提供を終了したいと思っても契約上はできない仕組みになっているようだし…。
他にもGoogle Fonts提供前のフォントと同一のフォント名が使えなかったり、著作権を持っている人のフルネームをフォント名に含められないなど、細かい制約もあるためか、どのクリエイターやフォントベンダーのフォントもGoogle Fonts版と元のフォントとでフォント名は異なっている。
ここにフォントを提供、というより「献上」することって、むしろクリエイターやフォントベンダーが永続的に所有すべき権利を放棄したも同然じゃないのかな。
それに、アマチュアのクリエイターが制作したフォントならまだしも、こんなところにフォントベンダーまでもが参加しているのは、Google Fonts側とフォントベンダーとで、外部からは見えない何かしらの利害関係が発生しているからじゃないだろうか?とさえ勘繰ってしまう。
会社として、利害関係が何も無いのにフォントベンダーが無条件にGoogle Fontsに自社フォントを提供しようと考えるなんてまずありえないと思うし…。

過去に何度かこの「フォントの独り言」で取り上げたAdobe Fontsなどもそうだが、高品質なフォントの多くが(ほぼ)タダ同然で使えるようなサービスが増え、そのラインナップも拡充されている。
フォントベンダーといっても小規模だったり、法人化していてもほとんど個人に近いところもあるから、安定した収入が得られるか不安もある中で自分で販売するよりかは、大きい企業の支配下であってもフォントを使ってもらえたり、そこからまた違うクリエイターのアイデア次第で新たなフォントを作ってもらえたりという形で日の目を見ることができる方が良い場合もあるのは確かだ。
とはいえ、こういう場所でもともと有料だった(高価だけどもそれ相応の価値があった)フォントが次から次へとタダ同然で提供されるようになっている現状はどうなのだろう…。
どのフォントもそれぞれに価値があり、その成果物だけじゃなく使用条件も含め、すべてセットでクリエイターが自由に決めて良いことのはずなのに、Google Fontsに提供することでどのフォントにも等しく「SILオープンフォントライセンス」が適用され、フォントが生みの親の元に二度と戻ることのできないような仕組みは、クリエイターを軽んじているようにしか僕は思えないな。
フォントベンダーがそんな環境に自社フォントを提供してしまうことは、それまで本家から購入してきた人たちの気持ちを蔑ろにしているように思えて、残念だなとも思う…。

それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!

【参考にしたサイト】(いずれも2021.10.22閲覧)
●Contribute to Google Fonts(英語)
https://github.com/google/fonts/blob/main/CONTRIBUTING.md
●Google Individual Contributor License Agreement(英語)
https://cla.developers.google.com/clas/new?domain=DOMAIN_GOOGLE&kind=KIND_INDIVIDUAL
●Font-Kai
https://font-kai.jp/
●「GoogleFonts」へディスプレイ書体など全8書体を提供しました
https://fontworks.co.jp/news/2021/01/15/9531/
●フォントライセンス事業終了のお知らせ(2021年4月14日付)
https://www.zenfont.jp/news.html

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