#46 UniqueなDesign? 「UD丸ゴ」 2021/10/10(Sun)
フォントワークスがリリースしている「UD丸ゴ」というフォント。同社が昔から販売している丸ゴシック体「スーラ」をベースに作られたユニバーサルデザイン(UD)フォントだ。2015年に「UD丸ゴ_ラージ」、2016年に「UD丸ゴ_スモール」がリリースされ、さらに2017年には各フォントのさらに太いウェイトがリリースされた。今回は、そんな「UD丸ゴ」というフォントに関する話をしようと思う。
まずUD丸ゴとは、こんなフォント↓かな文字が大きく、見出しやキャッチコピー、テレビのテロップなど視認性が求められるシチュエーションに適した「ラージ」と、小さい文字サイズで長文になっても読みやすいようにラージの漢字や英数字の大きさを2%程度縮小し、さらに漢字よりもかな文字を小さめにデザインした「スモール」の2種類があり、どちらも7つのウェイト(太さ)が用意されている。このフォントのベースになったスーラよりも、少し手書きっぽさや、そこから親しみやすさも感じられる。太いウェイトでは目立たなくなりがちな濁点「゛」も大きくデザインされており、それも濁点を除いたもともとのかな文字のデザインが損なわれないように工夫されている。スーラよりも曲線が伸び伸びと動いており、手作りっぽさが感じられるね。きれいに、シッカリとデザインされているスーラは使い勝手が良いのだが、少し機械っぽく、事務的というか、堅実で冷たい印象を感じることもある。その点でこのUD丸ゴは、人がデザインしたからこそ出せる温かみみたいなものが感じられるから好きだ。
ただUDフォントというよりかは、丸ゴシック体のデザインフォントという感じがする。堅実な印象のあるスーラよりもカジュアルな印象が強く、あまりUDフォントという感じがしない。スーラとUD丸ゴを比べると、こんな感じ↓最初のリリースから5年以上が経過し、スーラをベースにデザインされたUDフォントということで従来の「スーラ」に代わる形で使われている例も多く見られるようになったが、正直似合わないな…。「どんな人にとっても読みやすいフォント」がUDフォントの定義だとすれば、当然そのフォントはフォーマルな場面で使われる可能性もあり、そういう場面でストレスなく読めることはより重要になってくるだろう。だがこのUD丸ゴは、そういう場面で中立的に、淡々とメッセージを伝えるのが目的の媒体で使うにはカワイすぎるし、はっきり言ってダサいと思う。先に述べたように、「スーラ」よりも文字の曲線が伸び伸び、活き活きと動いている点は好きなのだが、同時にかな文字のデザインが遊びすぎているから読みやすいとは思えないし、UDフォントと呼ぶにはあまりふさわしくないんじゃないかな。かな文字と漢字・英数字など、用途によって使い分けやすいよう丁寧に調整を加えた「ラージ」と「スモール」を、それぞれ7ウェイトずつ用意し、幅広く扱いやすいように配慮してくれたのはありがたいんだけどね…。デザインがカジュアルなので、どうしてこれにUDフォントという肩書きを付けようと思ったのだろう?とリリースされた当初から思っていたし、今でも思っている。UD丸ゴやスーラに限らず丸ゴシック体全般に言えることだが、使い方に気を付けないとダサく見えやすい系統のフォントである一方、角ゴシック体よりも目に飛び込んできた時のストレスが少ないという意味で読みやすいという利点もある。UD丸ゴは読みやすいし、角ゴシック体で組まれた文章を読んでいる時にたまに感じるチクチク・トゲトゲと目に刺さるようなストレスはないものの、かな文字の曲線がやたら踊っているのが気持ち悪いし、これがUDフォントという位置付けなのは解せないな…。スーラと同じ、UDフォントではない普通の丸ゴシック体のジャンルに位置付けるか、「スーラをベースにマル文字っぽいテイストを取り入れてみた」のようなコンセプトで丸ゴシック系デザインフォントとして発表されていたら納得できたと思うけどね…。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2021.9.14閲覧)●UD丸ゴ_スモール B|フォントワークスhttps://fontworks.co.jp/fontsearch/udmarugo_smallpr6-b/●UD丸ゴ_ラージ B|フォントワークスhttps://fontworks.co.jp/fontsearch/udmarugo_largepr6-b/↑好きな文字列・ウェイトに切り替えて試し打ちができます。●製品リリースノート|フォントワークスhttps://fontworks.co.jp/company/releasenote/
スポンサーサイト
フォントワークスがリリースしている「UD丸ゴ」というフォント。
同社が昔から販売している丸ゴシック体「スーラ」をベースに作られたユニバーサルデザイン(UD)フォントだ。
2015年に「UD丸ゴ_ラージ」、2016年に「UD丸ゴ_スモール」がリリースされ、さらに2017年には各フォントのさらに太いウェイトがリリースされた。
今回は、そんな「UD丸ゴ」というフォントに関する話をしようと思う。
まずUD丸ゴとは、こんなフォント↓
かな文字が大きく、見出しやキャッチコピー、テレビのテロップなど視認性が求められるシチュエーションに適した「ラージ」と、小さい文字サイズで長文になっても読みやすいようにラージの漢字や英数字の大きさを2%程度縮小し、さらに漢字よりもかな文字を小さめにデザインした「スモール」の2種類があり、どちらも7つのウェイト(太さ)が用意されている。
このフォントのベースになったスーラよりも、少し手書きっぽさや、そこから親しみやすさも感じられる。
太いウェイトでは目立たなくなりがちな濁点「゛」も大きくデザインされており、それも濁点を除いたもともとのかな文字のデザインが損なわれないように工夫されている。
スーラよりも曲線が伸び伸びと動いており、手作りっぽさが感じられるね。
きれいに、シッカリとデザインされているスーラは使い勝手が良いのだが、少し機械っぽく、事務的というか、堅実で冷たい印象を感じることもある。
その点でこのUD丸ゴは、人がデザインしたからこそ出せる温かみみたいなものが感じられるから好きだ。
ただUDフォントというよりかは、丸ゴシック体のデザインフォントという感じがする。
堅実な印象のあるスーラよりもカジュアルな印象が強く、あまりUDフォントという感じがしない。
スーラとUD丸ゴを比べると、こんな感じ↓
最初のリリースから5年以上が経過し、スーラをベースにデザインされたUDフォントということで従来の「スーラ」に代わる形で使われている例も多く見られるようになったが、正直似合わないな…。
「どんな人にとっても読みやすいフォント」がUDフォントの定義だとすれば、当然そのフォントはフォーマルな場面で使われる可能性もあり、そういう場面でストレスなく読めることはより重要になってくるだろう。
だがこのUD丸ゴは、そういう場面で中立的に、淡々とメッセージを伝えるのが目的の媒体で使うにはカワイすぎるし、はっきり言ってダサいと思う。
先に述べたように、「スーラ」よりも文字の曲線が伸び伸び、活き活きと動いている点は好きなのだが、同時にかな文字のデザインが遊びすぎているから読みやすいとは思えないし、UDフォントと呼ぶにはあまりふさわしくないんじゃないかな。
かな文字と漢字・英数字など、用途によって使い分けやすいよう丁寧に調整を加えた「ラージ」と「スモール」を、それぞれ7ウェイトずつ用意し、幅広く扱いやすいように配慮してくれたのはありがたいんだけどね…。
デザインがカジュアルなので、どうしてこれにUDフォントという肩書きを付けようと思ったのだろう?とリリースされた当初から思っていたし、今でも思っている。
UD丸ゴやスーラに限らず丸ゴシック体全般に言えることだが、使い方に気を付けないとダサく見えやすい系統のフォントである一方、角ゴシック体よりも目に飛び込んできた時のストレスが少ないという意味で読みやすいという利点もある。
UD丸ゴは読みやすいし、角ゴシック体で組まれた文章を読んでいる時にたまに感じるチクチク・トゲトゲと目に刺さるようなストレスはないものの、かな文字の曲線がやたら踊っているのが気持ち悪いし、これがUDフォントという位置付けなのは解せないな…。
スーラと同じ、UDフォントではない普通の丸ゴシック体のジャンルに位置付けるか、「スーラをベースにマル文字っぽいテイストを取り入れてみた」のようなコンセプトで丸ゴシック系デザインフォントとして発表されていたら納得できたと思うけどね…。
それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!
【参考にしたサイト】(いずれも2021.9.14閲覧)
●UD丸ゴ_スモール B|フォントワークス
https://fontworks.co.jp/fontsearch/udmarugo_smallpr6-b/
●UD丸ゴ_ラージ B|フォントワークス
https://fontworks.co.jp/fontsearch/udmarugo_largepr6-b/
↑好きな文字列・ウェイトに切り替えて試し打ちができます。
●製品リリースノート|フォントワークス
https://fontworks.co.jp/company/releasenote/
スポンサーサイト
コメント