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#35 手書きが楽しくなる手書き風フォント
2020/11/10
ダイナコムウェアが販売している「ハンジペン」というフォント。
2013年にリリースされてから、当時販売されていた同社のTrueTypeフォントパックに収録され、現在ではDynaSmartシリーズを契約することで使うことができる。
今回は、そんな「ハンジペン」についてお話ししたい。

まずハンジペンとは、こんなフォント↓
HanziPen.jpg
ダイナコムウェアによれば、このフォントは同社が2004年頃にリリースした手書き風フォントのひとつ「てがき線」がベースになっているようだ。
一応てがき線は、ハンジペンの細い方と同じW3相当のウェイト(太さ)に位置づけられているようだが、ハンジペンのW3よりもさらに細い。
そこで、より太めで大きめのデザインに改良し、ウェイトも2つに展開して使いやすくしてくれた感じかな。

文字を組んでみるとわかるけど、少し右上がりにデザインされているよね。
文字と文字の間隔を適当に調整してやることで、リズミカルな印象が生まれ、より自然な手書きに近い文字として表現が可能だ。
お手本のような美しい手書き文字とは違い、ボールペンなどでさらさらっと「書き殴った」ような感じだが、そこがむしろ「リアルな手書きに近い」印象を生み出してくれているように思う。

ゴシック体や明朝体、デザインフォントを作成するアプリケーションやテクニックを持っていないアマチュアでも気軽に作成できることから、今まで数多くの手書き風フォントがいろんなフォントベンダーやアマチュアの作者さんによって作られてきた。
しかし、あくまで手書き「風」のフォントであり、実際の手書きとは当然異なるものになる。
なんとなく手書きっぽく見えても、フォント然としていてかえって気持ち悪く見えたりもする。
そんな中途半端な手書き風フォントを使うくらいなら、普通に字が上手い人に依頼して文字を書いてもらった方が良いかもしれない。

それにどんなフォントでも、数千に渡る収容文字を統一されたイメージでまとめるために洗練していくことは必要不可欠だ。
どんな文字と文字がどんな組み合わせで並んでも、違和感なく使えなきゃフォントとして意味がないからね。
だが手書き風フォントの場合、あまり洗練することにこだわりすぎると、リアルな手書き感が失われてしまう。
僕が自作の手書き風フォント「takumi書痙フォント」を制作した時に感じたことだけど、納得のいくようなデザインにするため改良を重ねると、作り手(書き手)が普段何気なく書いている手書き文字からは遠く離れたデザインになるし、「リアルな手書きに近い」印象の文字からもどんどん遠ざかっていき、かえって納得のいかない完成度になったりもする…。

その中で「ハンジペン」は、デザインのワンポイントとしてはとても使いやすい手書き風フォントに仕上がっているなと思う。
「てがき線」の時と比べると気になる点がしっかり改善されているし、だからといっててがき線の良さも失われていない。
特に文字を組んだ時のリズム感がとてもクセになる♪
ただ、各文字の字幅や字高にかなり差があるので、使い手が細かい調整をしてやらないと見栄えが良くならない点は、好き嫌いが分かれるところかもしれないけどね…。

――手書き風フォントは、先に述べたように実際の手書きとは異なるものではあるのだが、フォントによってはっきりと違う味(表情)があるよね。
それはゴシック体や明朝体、デザインフォント、あるいはその他の特殊なフォントにも同じことが言えるんだけど、手書きがベースの手書き風フォントは特に作り手の「それぞれ」があらわれやすいように感じる。
自分の手書きの文字にコンプレックスがある人でも、いろんな手書き風フォントに触れて、自分の好きな文字を打ち込んでみることで、さまざまな人(作り手)の味を気軽に感じることができる。
その中で、使い手の嗜好にマッチする手書き風フォントができればもちろん素晴らしいことだし、使い手が普段書く字や、字を書くことに対する考え方も変わってくるかもしれない。

今回僕が「ハンジペン」を紹介したくなった大きな理由のひとつは、文字を書くのが楽しいことだと思わせてくれるフォントだな、と思ったから。
僕もフォントの論評ばかりしているが、たまには手書きもいいものだな、と今回この記事を書いたり、「ハンジペン」のフォント見本を作成したりしながら感じることができた。
まだまだ世間には重苦しい空気が漂っているけど、みなさんもぜひいろいろな手書き風フォントに触れて、文字を書くことの楽しさを感じ、誰かに手紙を書いてみてください〜。
人間は本来、オンラインでの活動に特化した生き物ではないはずだからね(笑)。

それでは、また来月の「フォントの独り言」でお会いしましょう。ィヨロシク!!

【参考にしたサイトやカタログ】
●DFハンジペン StdN W5 OpenType Win/Mac
任意の文字列を打ち込んで試し打ちができます。
https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=3894
●『ダイナフォント総合カタログ2020』
同カタログのPDF版がダウンロードできます。
https://www.dynacw.co.jp/support/support_download_list.aspx?sid=39
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